リドックス物語

Tokyo Real Estate Freshman Story

リドックス物語

リンクエステートでこの春から新人不動産マンとして働くことになった高木。

上京したばかりで土地勘も不動産のこともわからないけれど、持ち前の明るさとガッツで目の前の課題に立ち向かっていく。

これは、主人公である高木の成長と、賃貸管理やテナントリーシングの知識について綴った物語です。

第1話 不動産管理の基本のキ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
入社

高木が入社した「リンクエステート」は4月1日に新卒の入社式があり、そこから2週間のビジネス研修が終わったら、早速それぞれの部署に配属され、OJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)での教育が始まる。

えーっと、「不動産仲介事業部」はここか。
同期のみんなは「資産管理事業部」に配属だけど俺だけ「不動産仲介事業部」に配属なんだよな。
(9時始業開始だけど、今日は配属初日だから新卒らしく早めに出社して色々準備とかしておこう。)

ガチャ。

おはよう。
高木くん、まだ8時なのに早いね。

あっ!?おはようございます!!
今日から「不動産仲介事業部」に配属になりました高木です。よろしくお願いします!!
えっと、、、

あー、僕の名前は佐川。
一応、住居チームのリーダーやってるからよろしくね。

佐川さん。よろしくお願いします!!
えっと、住居チームっていうのは、、、

まぁ、その辺りは朝の会議が終わってからちゃんと説明していくよ。
とりあえず、高木くんのデスクはここだから。何かわからないことがあったら聞いてきて。

は、はい!!よろしくお願いします!!


ーーーー・・・これで朝の会議は終了だ。
えーっと、あと、今日から新人が1人配属されてきている。新人は立って自己紹介して。

今日から不動産仲介事業部に配属になりました高木です。
精一杯頑張っていきますので、よろしくお願いします!!

部長の大川だ。今日からよろしく頼むぞ。
早速だが、高木には住居物件を担当してもらうことにした。具体的な内容や仕事の進め方については住居チームのリーダーの佐川について教えてもらってくれ。
佐川、頼んだぞ。

わかりました。
じゃあ、高木くんは業務の説明をするから10分後にまた会議室に来ておいて。

では、2〜3月の繁忙期も終わったが、4月もしっかり数字を残せるように頑張っていこう。
以上、解散!!


朝の会議にて

さっきも挨拶したけど、これから高木くんの上司という立場になる佐川です。
改めてよろしくね。
早速だけど、高木くんはこの会社《リンクエステート》や不動産仲介事業部についての説明ってどれくらい聞いている?

えっと、リンクエステートは社員数80人くらいの不動産管理会社で、不動産仲介事業部は空室にお客さんを連れてくる部署です!!

・・・すごいざっくりした説明だね。
これから、オーナーさんや営業先で自社について説明する場面は増えると思うからしっかりと知っておいてね。

そう言いながら、佐川はホワイトボードになにやら書き出した。

リンクエステート組織図

これが、ウチの会社の組織図になるんだけど、今回は主に業務上関わりが多い「資産管理事業部」と「建築事業部」、そして僕や高木くんが配属されている「不動産仲介事業部」について簡単に説明していくね。

まず「資産管理事業部」だけど、この部署は主に「テナント管理」や「建物設備管理」「オーナー対応」といった業務を行っている部署になる。
入居中のテナントへ契約更新の案内の送付や家賃の滞納があった場合の督促、クレーム対応。他にも消防設備の点検や解約時の退去立会いもこの部署の業務になってくる。一般的にイメージする「賃貸管理」の業務を執り行っている部署になるね。
僕たちとはオーナーさんに対して「キャンペーンの提案」などを行うときにタッグを組んだりするね。

次に「建築事業部」は、建物自体や設備に関する「修繕管理」やリフォームやリノベーション時の「意匠(デザイン)」に関する業務を行ってる部署になる。対象の不動産に「どんな工事が必要か」「どこの業者さんに発注するか」「工事内容は法律を守っているか」などをチェックしたりしている。
不動産仲介事業部と連携する場合で多いのは「どんなデザインでリフォーム」するかといったデザイン面での連携が多いかもしれないね。

最後に、僕たちが所属している「不動産仲介事業部」について。「仲介」という言葉の意味通り、貸主と借主の間に入って話をまとめて契約を成立できるようにしたり、借主を探してきたりする部署だね。
リンクエステートでは「住居」「オフィス・店舗」といった種類の物件を取り扱っていて、主に「住居」物件を担当するのが僕や高木くんのいる「住居チーム」となる。

ここまで駆け足で説明してきたけど、大丈夫かな?

・・・「不動産管理」と一口に言っても、その業務は色々な範囲に分かれていて、リンクエステートではそれを各専門の部署が業務を行っているってことですね。

その通り。
「不動産管理」についてだけど、不動産管理業務は大きく「ハード面」の管理と「ソフト面」の管理の2つに分けることができる。

そう言いながら佐川は新しい図をホワイトボードに書き始めた。

賃貸不動産管理業務

「ハード面」というのはマンションやアパートといった「建物」そのものを管理していくことで、具体的には「エレベーターの保守点検」や「消防設備の維持管理」「外壁や廊下のタイルの修繕」などが不動産の「ハード面」の管理となる。

対して「ソフト面」というのが、メインとしては入居している「テナント」の管理に関する業務となってくる。「月々の賃料の回収・督促」や「クレームへの対応」「空室のテナント募集業務」などが「ソフト面」の管理と捉えることができるね。

では、僕たち「不動産仲介事業部」は不動産管理業務における「ソフト面」の仕事ということですね。

そうだね。
リンクエステートでは、賃貸収益に直結してくる「テナント募集業務」に力を入れていて、この業務に特化して業務を行っていくのが僕たち「仲介事業部」の仕事となってくる。

じゃあ、僕たちはあんまり「ハード面」には関わる仕事って少ないんですか?

実際に、工事の管理や設備点検を僕たちがすることはほどんどないね。
でも、お客さんを物件に案内した時に「ゴミ置き場が散乱している」や「物件の印象が悪い」となったりした時など、物件の「ハード面」で何か対応が必要なのかもしれない。
そんな時にさっき説明した「資産管理事業部」や「建築事業部」と連携をとって仕事を行うケースもあるんだ。

なるほど。
不動産仲介事業部だからといって「ハード面」の知識がいらないって訳じゃないってことですね。

そうだね。
僕たちの仕事は究極的に言えば「お客さんを連れてくる」ことだから、もしかしたら建築や建物設備に関することなんて知らなくてもできるかもしれない。
でも、せっかく社内に豊富な知識や経験がある人がいっぱいいるんだから不動産管理の「ハード面」もしっかり勉強しておいたほうが、これからのことを考えるといいと思うよ。

わかりました!!


ここまで不動産管理業務について説明してきたけど、高木くんは不動産管理業務の目的ってなんだと思う?

えーっと、そうですね・・・。
「入居者の人に気持ち良く住んでもらう」や「物件を綺麗に保つ」といったことではないでしょうか。

そうだね。
そういったことはもちろん大切なことなんだけど、それはあくまで大きな目的を達成するための手段に過ぎないんだ。

・・・どういうことですか?

しっかりと理解して欲しいことは、僕たちの仕事の目的は「オーナーの資産の最大化」がということ。
例えば、さっき高木くんが挙げてくれた「入居者の人に気持ち良く住んでもらう」だけど、これは「気持ち良く住んでもらう」ことで「しっかりと家賃を払ってもらう環境をつくる」「解約率の低下」「物件全体の雰囲気が良くなる」となり、それが「物件価値」を高めることに繋がっているということなんだ。

・・・はい。

もちろん、目の前のお客さんに対して誠実に対応するということは決して間違ったことではないよ。
でも、自分の仕事の「本質」をしっかり理解していかないと「どうして、こんな業務が必要なんだろう?」と思ってしまってつい仕事がおなざりになったりしてしまうことがあるからね。

・・・まだ、上手くイメージがつかないですが、しっかり意識して頑張っていきたいと思います!!

そうだね。
まだ、実際の業務をやったことがないからなかなか難しいかもしれないね。この話は頭の隅にでも置いておいて、これから困った時やどうすればいいかわからなくなった時に思い返してみて欲しい。

わかりました!!


じゃあ、今日の最後は「管理業務の委託形態」について説明して終わりにしよう。

はい!!

ビジネス研修で「一般管理契約」と「サブリース契約」っていう話は聞いた?

多分、聞いた・・・と思います。
アレですよね、オーナーさんの代わりに業務を行うのが「一般管理契約」で自分たちがオーナーになるのが「サブリース契約」ですよね。

・・・本当に大まかな部分だけは聞いてたみたいだね。
じゃあ、まず「一般管理契約」から説明していくね。

そう言いながら佐川は新しい図をホワイトボードに書き始めた。

一般賃貸管理契約

「一般管理契約」というのは、さっき高木くんが言ってくれたようにリンクエステートが「オーナー」と「入居者」の間にはいって様々な業務を執り行う形が一般管理契約。
この場合、リンクエステートはあくまで「業務委託」されているという立場になるため、賃貸借契約は「オーナー」と「入居者」との間で締結されるんだ。

さらに佐川は「一般管理契約」の図の下に新しい図をホワイトボードに書き始めた。

サブリース契約・賃保証契約

対して「サブリース契約」についてだけど、このサブリース契約は「一括借上管理契約」や「家賃保証契約」「滞納保証契約」とも呼ばれることがある。
これは、リンクエステートが一度オーナーから物件全体を借り上げてから、リンクエステートが貸主として入居者へ「転貸」する形となる。サブリースというのは日本語で「転貸」という意味だからこういった名前になっているんだ。
余談だけど、この場合「オーナー・リンクエステート間の契約」を「マスターリース契約」、「リンクエステート・入居者間の契約」を「サブリース契約」と呼ぶから覚えておいてね。

リンクエステートがオーナーさんから物件を借りて賃料を払っているから、「家賃保証」という形になるってことですね。

その通り。
だからサブリースが「空室でも賃料が入る = 家賃保証」という形で認識されているということだね。リンクエステートがオーナーさんへ家賃を払い続ける限り、滞納も発生しないからね。

これ、研修の時にも少し思ったんですが、家賃が保証されているんだったら一般管理契約よりサブリースの方がお得じゃないですか?

確かに、空室のリスクの部分を見ればそうだね。
ただ、空室のリスクをリンクエステートが肩代わりしているわけだから満室時に得られる賃料は一般管理に比べて少なくなるんだ。

そう言いながら佐川はホワイトボードに新しい表を書き始めた。

【一般管理とサブリースの比較】
一般管理契約 サブリース契約
入居者から見た貸主 所有者(オーナー) リンクエステート
家賃滞納のリスク負担 所有者(オーナー)が負担 リンクエステートが負担
収益性(満室稼働時) 高収益 手数料大
空室リスク 空室リスクあり リンクエステートが
支払い続ける限りリスクなし

どっちがリスクを負担するかによって、収益が変わってくるってことですね。

そういうことになるね。
あと、もう一つ大きな違いは決済スピードだね。

どういうことですか?

一般管理の場合、入居者の審査やキャンペーンの実施などはオーナーさんの決済が必要となってくるんだ。オーナーさんにはいろんな方がいて、返信が早い人もいれば、他に仕事があったりして連絡が取りづらい人もいるからね。

研修の時にも聞いた気がします。
リンクエステートのオーナーさんは、不動産だけをやっている人もいれば、副業で不動産投資をしている方、法人のオーナーさんもいるって。

それに比べて、サブリースの場合はリンクエステート内での決済があれば進められるからスピーディーに対応することができる。相手が社内だし、極端な話だけど大川部長が「GO」と言えば進められるからね。

あんまり実感がないからわからないんですけど、やっぱり決済スピードって重要なんですか??

仕事においてスピードは大事なポイントの一つだよ。
「すぐに入りたい!」ってお客さんから申し込みがあっても、オーナーさんから返答を待っている間に「他の物件で決めちゃいました」ってケースもあったりもするからね。
そんな場合では、僕たちがオーナーさんが判断しやすいように情報を揃えて対応することが大切だね。

肝に銘じておきます!!

じゃあ、今日はとりあえず以上で終わりにしよう。
今日は、「不動産管理とは」とか「管理形態とは」といったの大枠について説明していったから、明日は「不動産仲介事業部」の仕事の内容やレインズの使い方についてレクチャーしていくから。

ありがとうございました!
また、明日も宜しくお願いします!


廊下

・・・ふぅー。
思った以上に覚えることって多いんだな。
でも、ここは内定ゼロだった自分に唯一内定をくれた会社だし、気合入れて頑張ろう!

大学も実家通いだったため、これまで全く不動産業界に興味も関わりのなかった高木。
まだまだ、戸惑う部分ばかりだが、彼の物語は始まったばかりである・・・。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加