「ウチの物件の固定資産税っていつ支払いになるの?」
管理委託を受けているオーナーさんからこんな質問を受けた時、あなたはスムーズに回答が出来ますか?
「税理士の先生に質問して下さい...」でお茶を濁す対応も間違いではありませんが、不動産業を行うものとして最低限の知識は持っておけばオーナーからの信頼もアップするでしょう。
そこで、今回は不動産に関する税金について、特に賃貸管理会社としては知っておきたい「期中期間」(不動産を保有している期間)に掛かる税金について紹介していきます。
不動産に関する税金の種類一覧
まずは、不動産に関する税金の一覧をまとめます。不動産に関する税金と一言にいってもそれぞれ、内容や納付する先が異なっています。
具体的には国に納める「国税」、都道府県に納める「都道府県税」、各市区町村に納める「市区町村税」の3種類があります。
税金の種類 | 支払いタイミング | 納付する管轄 |
---|---|---|
不動産取得税 | 不動産取得(購入)時 | 都道府県税 |
登録免許税 | 不動産取得(購入)時 | 国税 |
印紙税 | 不動産取得(購入)時 | 国税 |
贈与税 | 不動産取得(購入)時 | 国税 |
相続財 | 不動産取得(購入)時 | 国税 |
消費税 | 不動産取得(購入)時 | 国税 |
譲渡所得税 | 不動産取得(購入)時 | 国税 |
固定資産税 | 不動産保有時 | 市区町村税 |
都市計画税 | 不動産保有時 | 市区町村税 |
住民税 | 不動産保有時・不動産売却時 | 都道府県/市区町村税 |
上記が納める税金になります。
また、支払うお金以外として、居住者が住居として新しく建物を取得(新築、増改築等)し、返済期間が10年以上のローンを組んだ場合は「住宅ローン控除」として、所得税と住民税が控除される場合もあります。
不動産取引のタイミングによって課税される税金が違います
では、続いてそれぞれの税金がどのタイミングで発生するのかを解説していきます。
不動産運用は大きくわけて、【取得(購入)】→【保有】→【売却】の3つの段階があり、それぞれの段階で課税される税金の種類は変わってきます。
不動産を取得(購入)した時に発生する税金
不動産の取得(購入、譲渡、相続等)のタイミングで課税される税金は以下になります。
- 不動産取得税:土地や建物を取得した場合は、登記簿への登記をする必要があります。そのときに課税されます。
- 登録免許税:土地や建物を取得した場合は、登記簿への登記をする必要があります。そのときに課税されます。
- 印紙税:印紙税法で定められた課税文書(売買契約書、建築工事請負契約書、土地賃貸借契約書など)には印紙税が課税されます。
- 贈与税;財産(土地・建物)を贈与によって取得した人に課税されます。購入資金を贈与された場合も該当します。
- 相続税:相続によって取得した財産の価値が、他の財産と合わせて一定額以上になる場合に課税されます。
- 消費税:建物の購入、建築、媒介業者への手数料などの支払いに課税されます。(土地は非課税)
不動産を保有(期中管理)時に発生する税金
続いて、不動産を保有している期間に課税される税金は以下の2つになります。
不動産管理会社が管理委託を受ける期間にオーナーが課税される税金になるため、不動産管理担当者の方には特に重要な部分です。
- 固定資産税:固定資産評価額に応じて計算された金額が課税されます。
- 都市計画税:都道府県の定める「都市計画区域」の範囲内で「市街化区域」に含まれる場所に所在する土地・建物に対して課税されます。
不動産売却時に発生する税金
最後に不動産の譲渡(売却、贈与等手放すこと)をした場合に課税される税金が以下となります。
- 所得税:不動産の売却によって発生した利益に対して課税されます。
- 住民税:不動産の売却によって得た利益に対して課税されます。都道府県税や市区町村税となる場合があります。東京都23区内は特別区民税となります。
- 印紙税:印紙税法で定められた課税文書(売買契約書)には印紙税が課税されます。
- 消費税:買い手を探すための媒介業者への手数料などの支払いに課税されます。
賃貸管理会社が知っておきたい、期中管理(保有中)に必要な税金の詳細
それでは、ここからは特に不動産管理会社や賃貸管理担当者は知っておきたい、オーナーが支払っている、固定資産税と都市計画税について、詳しく解説していきます。
固定資産税と都市計画税とは?
固定資産税と都市計画税は、いずれも不動産を保有している期間に毎年支払う税金です。
固定資産税は固定資産(不動産や有形償却資産)を保有する人が支払う必要がある税金です。
都市計画税は保有する不動産が所在する場所によって課税されるかが決まります。
所在地が各都道府県が定めた「都市計画区域」内の「市街化区域」に含まれる場合は課税の対象となります。
市街化区域とは?
「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」
都市計画法より引用
つまり、既に都市化しており、これからも積極的に開発、整備を行っていく区域=地価が高く人気がある区域といえるでしょう。
このような区域内に不動産を所有する人は都市計画税を支払わなくてはなりません。
固定資産税・都市計画税の課税額はどのように決まるのか?
不動産の所有者には、毎年1月1日に管轄の市区町村から、納税通知書が送付されます。
送付される対象者は1月1日時点で、不動産登記簿上の所有者と登記されている人になります。これを使用して一括払い、又は年4回の分納によって納税します。
各市区町村は管轄内の固定資産について「固定資産課税台帳」という台帳を備えています。不動産の地価や資産価値により固定資産評価額を記録し、これを「課税標準」として課税額を算出します。
課税標準は固定資産税、都市計画税のいずれに対しても適用されます。
固定資産税の計算方法
課税額 = 課税標準 ✕ 1.4%(標準税率) となります。
標準税率の1.4%は市区町村によって事由に定めることができますが、ほぼ大半が標準税率を採用しています。
都市計画税の計算方法
課税額 = 課税業順 ✕ 0.3%(制限税率) となります。
制限税率の0.3%より高い税率を課すことはできません。都市計画税の税率は制限税率の範囲内で定めることができるため、自治体によって異なる場合もあります。
固定資産の評価額はいつ決まる?
固定資産税や都市計画税の課税額の算出基準になる「課税標準」は市区町村による不動産の評価額によって決定することがわかりました。
では、この評価額はずっと変わらないのかというと、そうではありません。
3年に一度、総務大臣から固定資産の評価の基準や方法を定めた「固定資産評価基準」が告示されます。
各市区町村はこの基準によって固定資産課税台帳上の評価額を改定します。
つまり、「3年に一回、固定資産の評価額は変わる」といえますね。
土地と建物は別々の評価となります。
不動産と一言にいっても、実は土地と建物かによって固定資産税や都市計画税の評価額は変わってきます。
具体的には土地の場合は地価が同じでも使用されている状況(宅地か農地か開梱されていない土地等)によて評価額は変わります。
建物の場合は新築からの経過年数や構造によって変わります。
ざっくりと言ってしまうと「宅地の土地が評価は高く、建物は新しいほど価値が高い」と言えます。
不動産管理の基礎知識として、必要な税金は知っておきましょう!
今回は不動産の基礎知識として知っておきたい、不動産に関する税金を特に期中管理時に発生する税金を中心にご紹介してきました。
具体的な土地、建物の評価方法やかかる税金を安く抑える方法までは分からなくても、不動産管理担当者としては、お客様であるオーナーはどのような税金をいつ収めなくては行けないのかは知っておきたいところですよね。
ぜひ、今回の記事を参考に、固定資産税や都市計画税などの期中管理に必要な税金については覚えてみてください!
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