契約時の重要事項説明の際に、「登記簿に記載された事項」についての説明を行います。
このとき、抵当権(根抵当権)が記載されている物件で入居者から質問として多いのが、「抵当権が実行されたらどうなるんですか?」といった質問を受けるケースです。
今日は「抵当権とは?」と「抵当権が実行されたら契約者はどうなるのか」について解説していきたいと思います。
抵当権とは?
抵当権とは、金融機関などがお金を貸す際に、不動産や権利(地上権など)或いは動産(自動車や機械、船舶、飛行機など)や財団に設定する担保のことです。
つまり、所有者がその物件を銀行などの金融機関からお金を借りて購入(建設)して、その物件が借りたお金の担保となっているということです。
そういった「抵当権」が物件には登記されていると説明をすると、
「そんな担保になってる物件は大丈夫なの??」
といった質問を受けることもあるかと思いますが、何千万円もする不動産物件をキャッシュ(無担保)で支払える人の方が少なく、金融機関からローンを組んで購入(建設)しているのは特に心配することはない旨を伝えれば納得してもらえるケースが多いと考えられます。
しかし、もしその抵当権者(お金を貸している人)が銀行などではなく消費者金融などであれば少し注意が必要かもしれません。
抵当権が実行された場合、契約者はどうなるのか。
まず、「抵当権の実行」について説明すると、
抵当権の実行とは、抵当権が設定された財産を換価処分し、その処分代金から優先的に債権を回収することです。 債権者が申立てを行い、裁判所が執行します。
参考URL:抵当権の実行 ~ インフォバンク マネー百科
つまりは何らかの理由で債務(借金)を返済することが不可能になってしまい、「抵当権の設定されている物件を「競売」にかけて、その売却代金で債務(借金)が回収される。」ということになります。
もっとカンタンにいえば、
借金のカタになってる不動産を売って、そのお金で借金を回収する。
ということです。
重要事項説明において、抵当権が設定されている場合は「登記簿に抵当権が設定されている旨」と「抵当権が実行された場合」について説明を行うかと思います。
次に、「抵当権が実行された」場合について見ていきましょう。
抵当権が実行された場合にポイントとなるのは、以下のポイントです。
- 契約者が物件を引き渡されたのは抵当権が設定される「前」か「後」か。
物件の引き渡しが抵当権が設定される「前」にだった場合
「物件の引き渡しが抵当権が設定される前」とは、契約者が入居した後にその物件に抵当権が設定されたという状況です。この場合に抵当権が実行された場合は、抵当権が実行されて所有者が代わったとしても、契約者は新所有者に対して賃借権を主張することができます。
つまり、
「物件の引き渡しが抵当権が設定される前」であった場合、抵当権が実行されたとしてもその契約者は入居を続けることができる
ということとなります。
物件の引き渡しが抵当権が設定された「後」だった場合
次は逆に「物件の引き渡しが抵当権が設定された後」であった場合についてです。これは、契約者が契約する前に既に抵当権が設定されている状況で、こちらが一般的によくあるケースかと思われます。
既に抵当権が設定されている物件に新しく入居した契約者は、物件の抵当権が実行されて所有者が代わった場合に、新所有者に対して賃借権を主張することはできません。
しかし、急に退去しろといわれても次の転居先が決まっていないことが普通です。それでは、入居者への負担が大きいため民法では所有者が変更後6ヶ月間は明け渡し猶予期間が設けられています。
もちろん、これは物件の新所有者から明け渡しを求められた場合の話なので、新所有者がこれからも入居し続けることを了解した場合は、通常通り入居し続けることができます。
まとめ
抵当権が設定されている物件の重要事項説明を行う際には、上記のように将来、抵当権が実行されて明け渡し(退去)を求められるリスクがある旨を伝える必要があります。
もちろん、過度に契約者を不安にさせる必要はないかと思いますがきちんとその概要とリスクについて説明しておくことが、入居者からのクレームを防ぐことにつながります。
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