「契約更新してない入居者の家賃滞納をしてるみたいなんだけどうしよう?」
賃貸借契約の契約更新ですが、きっちりと契約期間が終わるまでに更新合意書を以って契約の更新を行っていれば何も問題はありませんが、管理物件数や契約者数が増えてくるとどうしても、後手後手に回ってしまうことがあるということを時々耳にします。
今日はそんな「賃貸借契約の更新」について解説していきたいと思います。
契約の更新を忘れてしまったけど、この場合どうなるの?
まず、基本的には賃貸借契約の終了までに更新合意書などを互いに交わして、賃貸借契約に則った更新料を支払って契約の更新を行うのが通常の流れです。
しかし、なんらかの理由で契約の更新処理を賃貸借契約期間の終了までに行うことができず、更新契約を結んでいない場合、入居者との契約関係はどうなってしまうのでしょうか?
これは、借地借家法第26条において規定されている内容となっていますので、条文を見てみましょう。
【借地借家法第26条について】
- 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
- 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
- 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。
参考URL:Wikipedia 借地借家法第26条
条文に記載があるように更新の通知や合意がなかった場合は、従前の契約(更新前の賃貸借契約条件)と同一の条件で契約を更新したとみなされます。これを、「法定更新(自動更新)」と呼びます。
よって、賃貸借契約の更新処理を行えなかった場合については、借主から解約の意思表示がない限り、同じ賃貸条件で賃貸借契約が継続するということになります。
法定更新された場合の更新料について
では、法定更新(自動更新)の場合の更新料の支払いはどうなるのでしょうか?
賃貸借契約期間内に更新の通知をしなかったり、更新料の請求をしなかった場合に法定更新後に更新料の請求を行っても良いものなのでしょうか?
こちらについては、法定更新後であっても更新料の請求を行うことは可能です。極端な話をすれば、更新料の支払い債務が時効にならない限りは更新料を請求する権利はあります。
しかし、法定更新があるからといって更新契約を放置していて、法定更新後の何ヶ月も後から入居者に「更新料を払ってください」といっても法的には請求する権利があったとしても入居者からすれば、気持ちの良いものではない場合が多いです。
そういった不要なトラブルを発生させないためにも、「法定更新があるから大丈夫」というスタンスではなく、賃貸借契約期間の終了の度にきっちりと更新合意書を締結することが必要だと考えられます。
また、更新料の支払いについての裁判の結果などについては「更新料と消費者契約法に関する最高裁判決について」という記事にもまとめられていますので参考にしてみてください。
家賃滞納がありながら、法定更新された場合は?
冒頭のように、契約更新合意をせずに法定更新で契約の更新となっている入居者が家賃の滞納が重なってきた場合などはどうなってくるでしょうか?
この場合、借地借家法の条文でもあるように「従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。」となるため、契約条件がそのまま続いていると考えられるため通常の督促の流れと同じになります。
もちろん、「従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。」というのはその賃貸借契約の連帯保証人に対しても効力が発生しています。この法定更新による契約の更新の効力は当然、連帯保証人の効力も従前の契約から引き継がれることになります。
なので、「契約更新してない契約者だけど、連帯保証人に督促してもいいのかな」と悩む必要はありません。しっかりと、法定更新の内容を理解して適切な対応をおこなっていくことが必要となってきます。
まとめ
ここでは、「契約更新処理を行わずに継続している賃貸借契約の取り扱い」「法定更新された場合の更新料請求について」「法定更新された場合の滞納家賃の督促」といった内容について解説していきました。
まず、契約更新の合意がないまま、契約期間が過ぎてしまった場合は「法定更新(自動更新)」といって、従前の契約条件と同じ内容で契約が更新されたとみなされます。(借地借家法第26条より)
また、法定更新された場合であっても契約書内に「法定更新された場合であっても、更新料として〇〇円を支払う」という内容の記載があれば、更新料を請求することができます。
※古い契約書などでは「更新時は」などの記述で明確に「法定更新時は」と記載がない場合は要注意です。
また、自動更新された場合であっても、滞納家賃を連帯保証人に請求することは可能です。
「従前の契約と同じ契約内容」というのは、賃料や共益費などのお金に関わる内容だけでなく、その他の契約内容についても当然に引き継がれますので、連帯保証も継続されます。
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