賃貸借契約中に連帯保証人が死亡した場合、保証会社が倒産した場合の家賃債務は?

今回は「連帯保証人が死亡した場合」や「家賃保証会社の倒産した場合」などの各事例における対応方法を解説しています

連帯保証人が死亡していた場合の対応方法

賃貸マンションやアパートを管理運営する上で、何としても避けたいのが「家賃滞納」です。
契約当初は元気で十分に資力もある方でも、契約期間中に病気や失業、死亡など様々な原因で家賃が支払われなくなるという可能性があることは否定できません。

このような家賃滞納のリスクを軽減させるために、賃貸借契約を結ぶ際に重要になるのが「連帯保証人」です。
連帯保証人は、契約者が何らかの理由で家賃を支払う等の債務を弁済することができない場合に、借主本人(契約者)と同等の責任を負わなくてはなりません。
連帯保証人の存在によって、オーナーは家賃を回収できなくなるというリスクを軽減させることができます。

連帯保証人制度はオーナーさんにとっては、非常に強い保証になりますが、借主側にとっては誰にでも気軽に頼めるものではありません。
特に、近年の少子高齢化の影響で、「保証人を頼める人がいない」という方も多く、対象の契約者の家賃債務を保証してくれる「家賃保証会社」を利用するオーナーや賃貸管理会社も増えてきています。

では、もし契約期間中に「連帯保証人が死亡や失踪、自己破産をしてしまった場合」や、「家賃を保証していた保証会社が倒産してしまった場合」に、賃貸マンションやアパートのオーナーや不動産管理会社はどのような対応を取るべきなのでしょうか?

今回はそんな「連帯保証人が死亡した場合」や「家賃保証会社の倒産した場合」について、具体的なケースを交えつつ、各事例についての対応方法をご紹介していきます。

"連帯保証"とはどんな制度か?

一言に「保証契約」といっても、その種類には「保証人」と「連帯保証人」があります。
まず、連帯保証人が通常の保証人と異なる点として、通常の保証人契約では認められる、「3つの権利」が認められません。

  • 催告の抗弁権・・・債権者からの請求に対して、「まず本人に請求してください」と主張できない。
  • 検索の抗弁権・・・本人に弁済の財力があったとしても、債権者からの請求を拒否できない。
  • 分別の権利・・・連帯保証人が複数人存在する場合でも、一人一人に債務の全額を保証する義務がある。

つまり、借主(契約者)が賃料を滞納してしまった場合、連帯保証人はその滞納家賃の全額を本人(契約者)に代わって支払わなくてはなりません。

※2017年1月現在、民法(債権)の大改正案の国会提出が予定されており、個人の連帯保証人に対する保証額に限度が設けられることが予定されています。そのため、連帯保証人への全額保保証は今後認められなくなる可能性があります。

さて、連帯保証人制度についての概要について解説したところで、契約期間中に連帯保証人が何らかの理由でいなくなってしまった(死亡や失踪、破産など)としたら、その連帯保証契約はどのように取り扱われるのでしょうか?

連帯保証人が賃貸借契約期間中に死亡した場合の原則について

連帯保証人が欠格した場合の対応の原則

賃貸マンションやアパートの賃貸借契約期間中に連帯保証人が死亡してしまっているという事例は経験したことがある方も多いのではないでしょうか?
特に借主が連帯保証人が死亡した場合、すぐに不動産管理会社やオーナーに報告をする人であれば問題はありませんが、ずっと黙っていて契約更新の際に連帯保証人の不在が発覚するというケースも少なくありません。

このような場合、貸主や不動産会社は契約者に新しく連帯保証人を立てるように求めることはできるのでしょうか?また、契約者に他に連帯保証人を頼める人がいない場合、賃貸管理会社としてはどのような対応が取れるのでしょうか?

借主(契約者)に新しく連帯保証人を探すように求めることは可能

まず、民法では保証人について、次のように定めています。

民法第450条(保証人の要件)
第1項:債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
一 行為能力者であること。
二 弁済をする資力を有すること。
第2項:保証人が前項第2号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
第3項:前2項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。

連帯保証人の死亡は、第2項に定める「保証人である要件を欠く事由」に当たりますので、債権者である貸主は、借主に対して、450条1項に定める保証人としての要件を満たす代わりの人物を出すように求めることが認められています。

また、多くの賃貸借契約書でも、以下のような条文を設けて、予めトラブルを未然に防ぐ対策を取っています。

「借主は、連帯保証人が死亡・制限能力者・無資力または所在不明等の事由により連帯保証の責を果たし得ない状況になった場合、又は連帯保証人として適当でないと貸主が認めた場合には、速やかに甲が承諾する者に連帯保証人を変更しなければならない。」

賃貸借契約書を締結する際にも、連帯保証人が欠格した場合の予防策を講じておくとトラブルの回避に役立つでしょう。

では、続いて契約者に連帯保証人を頼める人がいない場合や、借主が連帯保証人を新しくたてることを拒否した場合など、より具体的な事例への対応をご紹介していきます。

もし、どうしても連帯保証人が見つからない場合は?

では、ここからはもう少し具体的なケースを例に紹介していきます。

Q1:契約更新時に連帯保証人が死亡が発覚。しかし、新しく連帯保証人を依頼できる人がいない場合

ここで想定しているのは以下のようなケース(事例)です。

入居者である本人を契約者、入居者の父親を連帯保証人として賃貸マンションの契約を締結。
しかし、2年後の契約更新のタイミングで、連帯保証人である父親が病死していることが発覚。
貸主は、契約者に対して新しい連帯保証人を立てるように求めたが、借主の母親は専業主婦で資力に乏しいため連帯保証人にはなれず、他に頼める人もいないと主張してきた。

上記のようなケースの場合、貸主は連帯保証人がいない状態で契約更新をすることになるのでしょうか?
また、仮に契約更新が契約期間の終了日までにまとまらず法定更新(自動更新)となった場合、連帯保証人は誰になるのでしょうか?

A:連帯保証人としての地位は相続放棄されない限り、相続人へ承継されます

連帯保証人は相続される

このようなケースでまず重要になるのが、連帯保証人の死後、妻や子供など、その財産を相続した人がいないかどうかです。(相続人の有無をまず確認しましょう。)
相続について、民法では以下のように規定しています。

民法第896条(相続の一般的効力)
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

連帯保証人としての権利も、当然「一切の権利義務」に含まれるため、相続人には被相続人が負っていた連帯保証人としての債務が相続されます。
また前述のように、連帯保証人には「分別の権利」が認められませんので、複数人が相続した場合には、その全員に対して請求を行うことができます。

よって、今回のような事例では、死亡した連帯保証人の妻が相続放棄をしていない限り、連帯保証人としての債務を相続しているため、相続人である妻がすでに該当の賃貸借契約の連帯保証人となっていると言えるのです。

相続放棄をした場合、相続される財産や権利のすべてを放棄することになるため、連帯保証人の地位も相続されません。相続放棄は死後3か月以内に行わねばならず、財産の一部でも処分した場合は行うことが難しくなります。

次に借主に滞納している賃料があった場合は、相続した連帯保証人はその債務を保証しなくてはいけません。
これは自動更新(法定更新)があった場合でも保証は継続します。

契約当初の保証人が更新後も連帯保証契約が継続するかについては、平成9年の最高裁判決で、期限の定めがある賃貸借契約の場合、更新後もその責任を負うという判例があります。
そのため、仮に法定更新となった場合でも、滞納賃料についての弁済の義務は相続された新たな連帯保証人が保証しなくてはなりません。

期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借契約から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないものというべきである。

最高裁平成9年11月13日判決(判例時報1633-81)引用元:国民生活センターHP

不動産管理会社としては、このような場合はまず母親を連帯保証人として契約を更新し、その後オーナーと協議の上、資力がないなどで実際に母親に連帯保証人たる資格がないと言える場合は、他の連帯保証人を立てるように求めるか、家賃保証会社の利用を検討するなどの対応が適切ではないでしょうか?

Q2:連帯保証人を用意しないことを理由に契約解除は可能か?

次のケースは以下のような事例です。

仮に、連帯保証人が死亡した後、相続を受ける人がおらず、貸主が新しい連帯保証人を立てるように請求しても、借主に拒否された場合、貸主は連帯保証人を用意しないことを理由に賃貸借契約を解除できるのでしょうか?

連帯保証人がいなくなった、または、新しい連帯保証人を探すことを拒否したことを理由に、貸主は契約解除に持っていくことはできるかという事例です。

A:即契約解除は難しいが、家賃滞納があった場合、「信頼関係の崩壊」とみなされやすくなる

結論から言うと、これまで家賃滞納もなく、入居態度にも問題がない入居者であれば、「連帯保証人がいないことだけを理由に契約を解除することは難しい」と言えます。

ただし、貸主や不動産管理会社から再三にわたって連帯保証人を用意するように求めても応じない場合、たとえ一回でも滞納をした場合は、通常の滞納の場合よりも、「信頼関係の崩壊」とみなされる可能性は高く、賃料滞納を理由とする契約解除に必要な滞納月数は短くなるとされています。

家賃保証会社が倒産した場合、契約者の家賃保証はどうなる?

保証会社が倒産したらどうなる?

ここまで、連帯保証人が死亡した場合について、紹介してきましたが、冒頭でも触れたように最近では対象の賃貸借契約における債務を保証してくれる「家賃保証会社」を利用するオーナーや不動産管理会社が増えています。
家賃保証会社のメリットは、連帯保証人を引き受けてくれるという以外にも、多くの家賃保証会社が行なっている「賃料の収納代行」「明渡訴訟費用の負担」「家具・家財の撤去費用の負担」などのサービスが挙げられます。

賃料の収納代行は、入居者が入金期日に賃料を支払えなかった場合でも、保証会社が収納を代行してくれるため、オーナーにとっても非常に安心できるシステムと言えますね。

しかし、保証会社と言っても、民間企業ですから、当然倒産するリスクは否定できません。
2008年に倒産したリプラスや、VESTA(MAG)などのような大手の家賃保証会社が倒産した事例もあるのです。

家賃保証会社が倒産した場合、当然法人は消滅しますので、個人のように誰かが相続してくれるというわけにはいきません。家賃保証会社が倒産した場合は、家賃保証契約を結んでいた契約者の賃料債務は誰が保証することになるのでしょうか?

破産管財人(弁護士)がスポンサーを見つけてくる場合もあります

通常、法人が倒産した後の破産手続きに関しては、裁判所に委託された破産管財人(ほとんど委託された弁護士が行う)が、倒産した家賃保証会社の事業を引き継いでくれる保証会社やスポンサーを探します。
これがうまくいけば、入居者の方の保証は引き継ぎ先の家賃保証会社が請け負ってくれるので、若干の家賃の保証内容の変更等はあるかもしれませんが、保証人なしの状態は回避することができます。

問題となるのは、どこの家賃保証会社も引き取ってくれなかった場合です。この場合は当然ながら、新しく別の連帯保証人を用意してもらうか、それができないならば新しく家賃保証会社と保証契約を結ぶしかありません。

別の家賃保証会社と新しく保証契約をする場合は、初回保証料と入居審査でトラブルになりやすい

破産した家賃保証会社の事業をどこからも引き継ぎ出来なかった場合、前述のように個人の連帯保証人を用意するか、他の家賃保証会社と契約することになります。
とは言っても、家賃保証会社を利用している場合、そもそも連帯保証人を頼める人がいない場合も多く、また、オーナーも継続して家賃保証会社を利用することを望む場合が多いので、別の家賃保証会社と契約する場合が多いでしょう。

こうなるとオーナーさんや不動産管理会社には時間的にも金銭的にも大きな問題を抱えることになります。
特にトラブルになりやすいのが、「初回保証料(初回保証委託料)の負担」「滞納がある入居者の審査」です。

家賃保証会社の保証開始時に多くの保証会社が家賃の一ヶ月や半額などの金額を、初回保証料として支払うことを必要とします。
通常、この費用は借主が負担することになりますが、契約期間中に家賃保証会社が倒産した場合、借主としては「オーナーや賃貸管理会社が選んだ会社が潰れたのに、なんでまた負担しないといけないの!?」と考えてしまうでしょう。
こうなってしまった場合、最悪はオーナーさんが「保証なしで居座られるよりはいいか...」と負担することもあるのです。

もう一つの難題が新しい家賃保証会社による審査です。
特に、申し込み時点で「家賃滞納がある入居者はほぼ100%審査には通らない」のが現状です。
こうなってしまうと、その人は保証人なしの状態で契約を継続するか、滞納している家賃を一旦諦めるかなどの対応を取らざるを得ない状況になってしまうことになりかねません。

連帯保証人や保証会社選びは長期的な視点を持ちましょう

連帯保証人や保証会社選びは慎重に

ここまで、連帯保証人が死亡した場合や、家賃保証会社が倒産してしまった場合などの各事例においてどのような対応が必要になるのかについてご紹介してきました。

個人と法人という違いはありますが、どちらにも共通するのは、連帯保証人選びには長期的な視点が必要ということではないでしょうか?

個人の場合、前述のように更新によって連帯保証人契約は継続されるため、何十年も保証人が同じ人という話もよくあります。
もちろん賃料をしっかりと払ってくれる方なら問題は起きないかもしれませんが、万が一病気や失業などで賃料を支払えなくなってしまった時に、実は保証人はすでに亡くなっていた、と発覚しては慌てて対応することような事態は避けたいですよね。

不動産管理会社として取れる対応としては、以下の3点があげられるでしょう。

  • 入居審査時に、連帯保証人の年齢も考慮し、亡くなった場合に代わりに保証人を頼める人(相続する人)がいるかも考慮する。
  • 滞納発生時には、入居者だけでなく、連帯保証人にも必ず督促する。
  • 賃貸借契約書に「連帯保証人が欠格した場合」や「更新時の連帯保証人の継続」などの条文を設け、事前にトラブルを回避するよう心がける。

また、保証会社による連帯保証の場合、倒産をすると個人の連帯保証以上にオーナーや不動産管理会社への負担は大きくなることが予測されます。

客付きが悪くなることを避けたくて、初回保証料の安い会社を選んだり、貸主へのキックバックがいい保証会社を選んでしまいがちですが、保証会社を選ぶ際は、業績や今後の信頼度を加味し、より長期的な目線を持った保証会社選びが必要になります。
また、すべて同じ保証会社と保証契約を結ぶのではなく、複数の保証会社を利用するなど、リスクを分散させる処置を取っておくことも効果的でしょう。

是非、今回の記事を参考に連帯保証人や家賃保証会社の選び方について、考えるきっかけにしていただければと思います。

この記事は「クラウド賃貸管理ソフトReDocS(リドックス)」が運営しています。
私たちは、「不動産管理ソフトを活用することで解決できる課題」だけでなく「不動産管理に関わる全ての悩み」を対象として様々なことをお伝えしていきます。

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