契約締結時に説明が必要!解約時の敷金償却(敷引き)について

トラブルになりやすい解約精算ですが、敷金の償却がある場合はしっかりと説明しないとクレームになる可能性が高まります。

オーナーからの相談

礼金有りで募集すると賃貸のポータルサイト検索で集客が難しいから、敷金を増やしてその分を償却しようと思う。
これだったら、「礼金ゼロ!」と表記することもできるから集客にプラスにつながると思うんだ!

詳しくは調べてないんだけど、「礼金 = 償却分」という認識でいても問題ってそんなにはなさそう?

空室募集の際に、「礼金があるかないか」たったこれだけで検索結果は大きく変わってきます。「礼金は取りたいけど、集客もしたい」と考えた時に、礼金をなしにしてその分、敷金を積み増して償却してしまえば実質的に礼金と同じ収益を作れると考える方も多いと思います。

今日は、退去時の解約精算時に揉めることが多い、「敷金償却と原状回復工事の費用負担」についてです。

敷金償却 = 礼金ではない!!

では、まず「敷金」と「償却」についての用語の定義から見ていきましょう。

敷金

敷金(しききん)は、法律用語で、不動産の賃貸借の際、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する停止条件付返還債務を伴う金銭である。

敷金 Wikipedia

「債務を担保する」とありますが、この債務というのは「賃料支払い債務」や「原状回復費用支払い債務」などのことを指しています。つまり、敷金とはあくまで「担保」であるため「債務」の履行(支払い)がきちんと行われている場合は、全額返還するというものとなっています。
※実際のところは、借主はクリーニング費用などの負担があったりするので全額返還するというのは、極めて稀なケースだと思います。

敷金償却とは何か?

次に敷金償却(敷引き)について見てみましょう。

色々なサイトで敷金償却(敷引き)についての説明がありますが、サイトによってニュアンスが違ったりしているので解釈が難しいところです。
その中で、一番しっくりくる考え方として、敷金償却は「損害賠償額の予定額」であるとして考えるのが良いかと思います。

損害賠償額の予定

不動産の売買契約において、当事者の一方が債務を履行しない場合に備えて、あらかじめ損害賠償の金額を取り決めておくことがある。このような予定された賠償金額のことを「損害賠償額の予定」と呼ぶ。
「損害賠償額の予定」を契約に盛り込むことにより、売買契約の当事者は、将来に債務の不履行が発生した場合には、実際の損害額を立証しなくとも、所定の金額の損害賠償を請求できるというメリットがある。
また、実際の損害額が、予定された賠償額よりも少ない場合であっても、債務を履行しない債務者には予定された賠償額を支払う責任が生ずるので、債務者にとっては過剰な支払いとなる可能性がある。

参考URL:損害賠償額の予定 不動産用語集

※この引用文は「不動産売買」の前提で記載されていますが、損害賠償額の予定は「不動産賃貸」においても設定することは可能です。

つまり、「原状回復債務」を「損害賠償債務」として捉え、その将来に発生しうる損害賠償債務を契約時点で予定額として取り決めておくということになります。
もう少し簡単に言うと、原状回復費用の最小額を契約時点で決めておくという意味合いです。

よって、原状回復請求は借主の原状回復義務のある費用負担分の金額から償却額を超えた分のみの請求となります。
これをいいかえると、借主の原状回復負担分が償却額以内であれば、請求することはできません。

まとめ

つまり、償却額を礼金のように考え、借主の費用負担分を全て請求すると原状回復費用の二重請求となり消費者契約法第10条に觝触してしまう可能性があります。そのため、冒頭のコメントのように「敷金償却 = 礼金」として考えてしまった場合は、裁判などに持ち込まれた場合、大家さん・賃貸管理会社にとって不利な状況に持ち込まれてしまうことが考えられます。

敷金償却や敷引きの持つ意味合いは、地域の商慣習によって異なる場合があります。これが不動産業界のややこしいところですが、必要に応じて専門家の先生などに相談しながら募集や原状回復費用の請求を行うことが良いかと思います。

また、原状回復費用のトラブルについての大半は「説明不足」によります。契約締結を客付け仲介業者の方に全てお願いしている場合は、客付け仲介業者にとっては契約することが最優先となりますので、契約内容の細かいところやお客さんにとって得にならない部分が説明されずに契約され、退去時に聞いていなかったということになります。

契約締結時にしっかりと入居者の方に賃貸借契約の内容を説明することも不動産管理会社の重要なポイントの一つであると言えます。

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