十分な注意が必要!前入居者が退去時に残していった残置物の対応について

退去した後に貸室の状況を見に行って、家具などの残置物があった場合、安易に捨ててしまったりすると大変なことになります。

オーナーからの相談

退去後に部屋を見に行ったら、家具とか家電、引っ越しの際に出たゴミが全然残っていました。

引っ越し時に残していったということは、全部不要な物ということだと思うから廃品回収の会社さんにお願いしようと思うんですがいいですよね?
あと、回収にかかった費用も敷金から引いて精算しようと思っているんです。

「退去した入居者さんが荷物を残して出て行ってしまったけど、これどうしよう。。。」

退去した入居者さんが引越しの際に新居に持って行かず部屋に残した荷物(家具や家電)。こういった荷物を残置物と呼びます。
残置物の処理についてはアパートやマンションの賃貸経営をしていると十分に起こりうる問題・悩みです。

今日は、残置物の取り扱い方や撤去方法といった残置物問題の対処法についてご説明していきます。

退去したばかりの部屋の残置物の「所有権」は前の入居者にある状況です。

まず、最初に認識しておかないといけないことは「勝手に処分するのは違法」ということです。

  • 「契約が終わったから、処分しても大丈夫だろう」
  • 「ゴミ・不用品に見えるし捨てても大丈夫だろう」
  • 「必要なものだったら持っていくだろう」

そんな風に考えがちですが、賃貸借契約が終了していたとしても、部屋にある残置物(家具や家電)の所有者は退去した入居者であり、これを勝手に処分したりしてしまった場合は、所有権の侵害ということで損害賠償に繋がる可能性があります。

「処分する人にとっては不用品に見えても、所有者からすればすごく大切なものだった」ということは、十分にあり得る話ですので注意が必要です。

不動産管理会社が残置物の処理に必要な手続きについて

残置物を処理するには

  • 所有者(前入居者)との合意を得て処分
  • 訴訟を起こして強制執行での処分

2パターンがあります。

まずは「所有者(前入居者)との合意を得て処分」ですが、これは特別な法手続きなどは不要です。退去した入居者さんに連絡をとって、「残置物があること」「残置物を処分することの許可」を得れば、処分して大丈夫です。

気をつけないといけないポイントとしては以下の2点です。

  • 口約束だけでなく書面に残す
  • 処分の費用は誰が負担するのか

口約束でも法的効力は発生しますが、最悪の場合、言った言わないの泥沼になることも可能性とあり得るため、お互いの合意について書面に残しておくことが大切です。

また、家具や家電などの大きな残置物となると処分するのにも費用がかかってきます。これは誰の費用負担で行うのかということをあらかじめ取り決めておく必要があります。

あとから思わぬ費用を請求された時に「聞いてなかった!!」とトラブルに発展しないように、合意の書面と一緒に費用負担についても取り決めておくことが大切です。

次に、「訴訟を起こして強制執行での処分」についてです。
これは、前述したような「所有者との合意」が音信不通や所有権放棄の拒否などで合意が取れなかった場合の対応となります。

この場合、契約が終了したのに部屋の明け渡しが終わっていない状態といえるため、建物の明け渡しを求める訴訟をすることになります。
この訴訟で勝訴しても所有者が残置物を処理しない場合は「強制執行」という手続きが必要となってきます。

その後、撤去した残置物を競売にかけますが、たいていの場合、入札者がいないため大家さんが落札してから処分・廃棄するという流れになります。

非常に煩雑な手順と費用がかかってしまいますが、残置物を勝手に処分すると、後々、損害賠償請求をされることもあるため、面倒でも法的手続きに則った対応が必要となってきます。

まとめ

ここでは、「前の入居者が残していった残置物の対応方法と必要な手続き」について解説していきました。

退去した後の部屋に放置してあるから、それらの残置物は捨ててあると思いがちですが、そんな状況でも所有権は前の入居者がまだ持っているような状況です。
そのため、安易な判断で捨ててしまったりすると、あとから損害賠償請求をされてしまう危険生があります。

そういった事態を避けるためにも、退去立会い時に「残置物の所有権について放棄」する旨を一筆とっておくことが大切です。
※退去立会い確認表などを作成してそこに一文入れておくのも良いかもしれません。

もしも、退去立会いができなかった場合でも、必ず契約者に対して「残置物の処分は管理会社に委ねる」ことに了承をとる必要があります。
了承が取れない場合は、訴訟を起こして強制処分するというケースとなってしまうため、できるだけ早い段階で前の入居者と連絡を取りましょう。

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