入居者クレーム対応

無断民泊を許さない。不動産管理会社が行える3つの対策と民泊禁止特約について

今回は、近年急増している「無断民泊(ヤミ民泊)を現実的に取り締まる方法と民泊禁止特約について」を検証しています。

今回は、近年急増している「無断民泊(ヤミ民泊)を現実的に取り締まる方法と民泊禁止特約について」を検証しています。

無断民泊(ヤミ民泊)を取り締まる方法を考える

賃貸マンションでの無断民泊が増加しています。

「隣の部屋に頻繁に外国人観光客が宿泊している。うるさいし、ゴミ出しは守らないし、何とかして欲しい!」

こんなクレームの電話が入居者の方からかかってきた経験はありませんでしょうか?
管理している賃貸マンションやアパートでの入居者による無断での外国人観光客への宿泊用途での貸出、いわゆる「ヤミ民泊」が問題になっています。

「Airbnb」「Homeaway」などの民泊仲介サービスが話題になっていることは耳にされている方も多くいらっしゃるかと思いますが、実は掲載されている宿泊可能物件の中には、貸主や不動産管理会社に無断で掲載されている部屋も存在していることはご存知でしょうか?

このような無断民泊(ヤミ民泊)が物件の価値を大きく損なうリスクがあることが、多くの大家さん(オーナーさん)や不動産管理会社の心配の種になっていることを私たちも耳にします。
しかし、実際に無断民泊(ヤミ民泊)を取り締まろうと思ってもなにをすれば良いのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。

今回は、近年急増しており、賃貸マンション管理における大敵でもある「無断民泊(ヤミ民泊)を現実的に取り締まる方法と民泊禁止特約について」を検証してみました。

そもそも民泊は合法なのか?違法なのか?

「民泊は法律的にグレー。」
こんな話は耳にしたことがある方も多いでしょうのではないでしょうか?
しかし、具体的にどんな民泊なら法的に問題なく、なにをしたら違法の範囲になるのかという部分について、明確な知識を持っていらっしゃる方も少ないのではないでしょうか?
不動産管理会社として無許可の民泊を取り締まる為にも、まずはそのルールをよく知らなくてはなりません。

賃貸マンションやアパートにおいて「民泊」を行うには「法律」と「契約」といった2つの制限がある。

賃貸物件で民泊を行う場合は2つの制限があります。
一つは「法律」による制限、もう一つが貸主と借主の間にある「契約」による制限です。

法律による民泊への制限

まず、「法律」による制限についてですが、宿泊料を受け取って、施設や寝具を利用させる民泊(Airbnbなど)は【旅館業】にあたると考えられています。
この、旅館業を行うためには各都道府県への申請を行って営業許可を得る必要があります。

上記の旅館業の認可を得るためには、用途地域の確認や保健所への申請、フロントの設置、消防設備の設置など非常に多くの越えるべきハードルがそこには存在します。そして、多くの場合、様々な問題から個人でそれをクリアすることは非常に難しいと言わざるをえません。

2016年4月に旅館業法施工令の一部が改正されたことで、簡易宿舎営業の認定がかなり緩和されたことは事実ですが、依然として「適切に許可を受けて民泊を営業すること」には多くの制限が存在します。

契約による民泊への制限

「契約」による制限とは、物件の所有者であるオーナーと賃借人(入居者)間で結んだ賃貸借契約についてです。
一般的に利用されている賃貸借契約の雛形において「転貸借の禁止」「住居以外の利用用途の禁止」が記載されています。

そのため、入居者が民泊を行おうとした場合、ほとんどのケースで「貸主の承諾」が必須となります。
つまり、貸主の承諾無く民泊を行うことは「契約違反」となるという制限が存在します。

以上の2つの制限から、一般の居住用の賃貸物件(アパートやマンションなど)で民泊を行うことは、ほぼ不可能に近いのです。
それでも、無断で民泊事業を行う入居者が存在しているのが現実です。

では、自社の管理物件で無断民泊(ヤミ民泊)が行われていた場合、どのようなリスクやデメリットがあるのでしょうか?

無断民泊(ヤミ民泊)を認めるとマンションやアパートの不動産価値を大きく損なうリスクがあります。

賃貸マンションやアパートで無断民泊(ヤミ民泊)を行う入居者は、ほぼ100%、貸主や不動産管理会社には無断で民泊仲介サイトへの募集情報を掲載します。
無断民泊を行う方のほとんどが違法(またはグレー)な行為だという認識は持っているので、近隣住民や賃貸管理会社にはバレないようにやります。

すると、他の入居者からすると、「急に不特定多数の外国人が突然出入りするようになった」「夜遅くまで騒いでることが多くなった気がする」「なんだか住みにくいマンションになってきた」という印象を持垂れてしまう可能性が出てきます。
そのほかにも、無断民泊(ヤミ民泊)に利用されているマンションやアパートでは、以下のような声(クレーム)が入居者から出るようになるそうです。

  • キャリーケースの音が頻繁に廊下から聞こえてうるさい
  • ゴミ置き場が急に汚くなった、分別がされなくなった
  • たばこの吸い殻のポイ捨てが多い。
  • (大型マンションの場合)いつも共用のゲストルームが予約で埋まっている
  • 酔っぱらい風の外国人が大声で頻繁に騒いでいる

あなたの管理しているマンションやアパートに当てはまるものはありませんか?
当然、このような環境で他の入居者の方が快適に生活できるわけがありません。

こういった状態を放置してしまうと、当然入居者は離れてしまい、空室が目立つようになり、さらに悪評が広まれば対象不動産の資産価値は大きく損なわれてしまいます。
しかし、不動産管理会社にとっては、自分たちが管理している賃貸マンションやアパートでの無断民泊(ヤミ民泊)を取り締まることは難しいのが現状でもあるのではないでしょうか?

賃貸管理会社では、無断での民泊(Airbnbなど)を取り締まることが難しい理由

ここまでで、違法である民泊行為についてや、それを放置することが管理しているマンションやアパートにとってどれだけマイナスの効果をもたらすかはご理解頂けましたでしょうか?
では、なぜこれだけの危険性がありながら多くの不動産オーナーや管理会社が民泊を取り締まることが出来ていないのでしょうか?

その理由は単純で「無断民泊(ヤミ民泊)を発見するのが極めて困難」であるからです。

現在、民泊を利用したい外国人旅行者と部屋を提供する入居者(ホストと呼ばれます。)をつなぐ方法としてもっとも一般的なものが「Airbnb」「Homeaway」を始めとする民泊仲介サイトです。
これらの民泊仲介サービスは、インターネット上での募集なので一見情報は開示されているように思えるのですが、実はこのサイト上からご自身の物件が無断で掲載されているかどうかを判断するのはなかなか難しいのです。

結果的に、入居者からのクレームが入って初めて自社の管理物件内で無断民泊(ヤミ民泊)がされていることを知るケースが非常に多いのです。

Airbnbをはじめとする民泊仲介サイトの物件情報は明確な住所までは表示していないため、特定が難しいのが現実です。

Airbnbを始めとする民泊仲介サイトに掲載されている物件の情報は、例えば賃貸ポータルサイトなどで見ることができる賃貸物件の情報に比べるとあまり情報量は多くありません。
これは民泊の性質上、通常時はその貸室、又は一戸建てに住んでいる(生活している)ホストも少なくないため、プライバシー保護の観点からあまり個人を特定できる情報は掲載しなくてもいいようになっています。

では、実際どのくらいの情報が見えるのか?というと、民泊仲介サービスの大手サイト「Airbnb」の場合、

  • 室内のかんたんな写真
  • 部屋の設備
  • 使用上のルール
  • 部屋の広さ・宿泊可能な人数
  • 使用料金
  • 大まかな位置情報

たったこれだけなのです。
具体的な住所や物件名など、詳細情報についてはホストに連絡をとって、実際に予約が決まった人にしか知る方法はありません。

もちろん民泊仲介サイトとしても、貸主に無断での掲載はNGとしていますし、違法なAirbnbにはユーザーからの通報システムを設けています。決して無断での民泊の利用を推奨しているわけではありません。
むしろ無断民泊(ヤミ民泊)を取り締まろうとしている姿勢はみせています。

しかし、民泊仲介サイトにとって物件を掲載してくれるホスト(物件情報の提供者)は「お客様」であり、保護する対象でもあるためなかなか厳しく取り締まるわけにも行かない、というのが現実ではないでしょうか。
実際「Airbnb」の場合、「通報があった場合はホストに掲載を取り下げるように伝えるよう努力する」とは記載していますが、その募集広告の取り下げを確約しているわけではありません。

では、自社で管理しているマンションやアパートで無断民泊(ヤミ民泊)が行われているかどうかを調べる方法はどのようなものがあるのでしょうか?

賃貸管理会社が対策できる無断民泊利用への対応方法

それでは、ここからは実際に自社の所有物件や管理物件が無断民泊に対して対策できる具体的な方法を「3つ」ご紹介していきます。

方法1:徹底的に管理物件を現地巡回する

「なにを当たり前のことを!」と思われるかもしれませんが、実はこの方法が最も効果のある方法です。
実際に現地に行って、借主以外の利用者が使用している現場を押さえること以上に効果的な方法はありません。
その場で取り締まることができれば、無断民泊(ヤミ民泊)を行っている入居者も言い逃れをすることはできません。

しかし、当然ですがこの方法は大変な手間と時間が掛かります。
マンションやアパートにオーナーさんが住まわれている場合や、物件の近くに管理会社があるという状況であれば不可能ではないでしょうが、管理物件が自転車で行ける程度の範囲になければ物理的に不可能な場合が多いでしょう。

ですが、こまめに入居者に対して注意喚起を行うなどをして「この物件は無断で民泊をやりにくいな」と思わせることが重要です。
例えば、入居者さんに対して、「居住環境の向上のため」などと銘打って「最近、民泊で利用されているような部屋を見たことがないか」などのアンケートを取るなど情報を募ること効果的でしょう。

方法2:民間の違法民泊(無断民泊)取り締まりサービスを活用する

次にご紹介するのが、無断民泊(ヤミ民泊)を取り締まる民間サービスです。
無断民泊にお悩みの大家さんや不動産管理会社さんの増加を受けて、それを取り締まる側のサービスも登場しているのです。

今回、私たちが電話やメールを通してお問い合わせをして、各サービスの特徴や料金について調査した結果もお伝えしたいと思います。

民泊ポリス

民泊ポリス スクリーンショット

民泊ポリスは全国紙やテレビ番組でも取り上げられており、民泊取り締まりサービスの中でも代表的なサービスの一つといえます。
特徴的なポイントとしては、「明確に設定された料金体系」と「無料匿名で通報された違法民泊の住所情報を紹介」できる点にあります。
以下は、具体的なサービス内容についてです。

料金 戸数が20戸以内の物件の場合:15,000円(税込)/月額
20以上の戸数の場合は別途お見積り
所要時間 1週間程度
サービスの特徴 徹底した大手民泊仲介サイト内のパトロール
毎月月末のレポートによる結果報告
発覚時点での即時報告
別料金で物件への宿泊調査も可能。 一回に付き300円で指定した住所が民泊仲介サイトに掲載されていないか調査してくれる。
運営会社 株式会社オスカー
URL https://minpaku-police.com

民泊ポリスの運営会社である株式会社オスカーの中込様に伺ったサービスの特徴について以下のように伺っています。

所要時間としてはアカウント作成のみで基本的には民泊ポリスがパトロールを代行してくれる。

早期無断民泊の特定のポイントは、とにかく管理会社様やオーナー様等のご依頼主様から情報量をたくさん提供してくれることが重要です。
情報が多ければ多いほど、早期・確実な特定に繋がります。

民泊バスターズ

民泊バスターズ スクリーンショット

運営会社は「Re!Birth東京探偵社」(探偵業認可番号:東京都公安委員会 第30140219号)という探偵業を行っている会社です。
民泊バスターズは居住者や物件オーナーを守るために「違法民泊実態調査」を行い、その確たる証拠をつかみ、クライアントにとって最善の解決方法をご提案します。
以下は、具体的なサービス内容についてです。

料金 基本的に必要費用は案件によって要見積もり。
目安として、単発依頼の場合、1部屋20-30万円。
一棟での契約件数が5件以上のまとめ契約の場合割引あり。
所要時間 約1週間程度
特徴 調査会社の知識と技術・証拠取集能力と違法民泊実態調査を専門に行なう為の独立した会社
警察OBおよび法律専門家と提携している事からどの様なシーンにも対応が可能です。
発覚時点での即時報告
確実な証拠収集技術とその後のアフターケアで納得のいく結果を約束。
運営会社 Re!Birth東京探偵社
URL http://minpak-b.com

民泊バスターズの運営会社であるRe!Birth東京探偵社の平川様に伺ったサービスの特徴について以下のように伺っています。

当社は本来探偵業である為調査や証拠収集のプロです。
また合法民泊管理運営会社とも提携しておりますので、民泊ポータルサイトでの対象者検索や専門的な知識、また違法民泊運営者が使う手口なども把握していますので、出来る限り短い期間で平穏な生活が取り戻せるように心がけております。

以上、2つのサービスを代表的な民泊対策業者としてご紹介させて頂きました。
各社共にサービスの内容や料金にばらつきはありますが、やはり確実な証拠を抑えて潰しこみを行うのはそれなりの費用が必要といえます。

方法3:管轄の行政監督機関に対応を依頼する

近年では、民間サービスの他にも公的な行政機関でも違法民泊(ヤミ民泊)を取り締まろうとする動きは活発になっています。
具体的には区市町村の保健所が民泊運営の認可を行っている関係上、無断・違法な民泊運営は保健所への通報で対応をとってくれるケースがあります。

東京都台東区では、前述の2016年4月の簡易宿舎扱いでの民泊営業を時期尚早とし、区議会にて旅館業法の改正条例を可決しています。
具体的には以下のような内容となっています。

  • 宿泊者の就寝中を含む営業時間内は従業員を常駐させること
  • 玄関帳場かそれに準じる設備の設置を宿泊施設に義務づける

上記のように、実質的にマンションやアパートの一室や空き家を使った民泊は行えないよう厳しい取り締まりを見せています。

また、京都市では「民泊通報・相談窓口」という専門のチームを結成し、メール・電話などで幅広く情報を受け付ける他、Airbnbを始めとする民泊仲介サイトへの無認可物件の削除申請などを代行しています。
実際に通報を元に「旅館業法違反」での摘発事例も複数上がっており、市を挙げての悪質な民泊に対策を取っています。

他にも民泊特区として民泊に寛容な姿勢を見せていた大阪でも悪質な民泊を摘発するという事例もでてきています。

これまでグレーゾーンと言われてきた民泊ですが、ルールが明確化してきたこともあり全国的には摘発傾向にあるといえます。お困りの際は、管轄の保健所や市町村に連絡してみるのも有効でしょう。

不動産管理会社やオーナーは民泊を理由に賃貸借契約を解約できるのか?

弁護士に賃貸借契約の解除ができるかを質問

では、仮に賃借人が無断で民泊を営んでいた場合、管理会社やオーナーはそれを理由に退去してもらうことは可能なのでしょうか?
ここからの内容は不動産管理について詳しい江川勝総合法律事務所の井口賢人弁護士にお話を伺いました。

結論から言いますと、契約解除ができる可能性が高いものの、実際に解除する場合にはいくつかの問題点も存在するようです。
賃借人の民泊営業を理由として賃貸借契約を解除する場合、その解除の理由として主に考えられるのは①無断転貸と②用法遵守義務違反の2つです。

無断転貸を理由とした契約解除

不動産管理のプロである皆様にとっては常識かもしれませんが、民法により、貸主の許可なく貸室を第三者に又貸しする、いわゆる無断転貸は禁止されており、賃貸借契約の解除事由とされています(民法第612条)。
以下、条文です。

【(参考)民法 第612条】
1.賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2.賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

本件のような民泊のケースについては、無断転貸の禁止によって守ろうとしている賃貸人の利益が侵害されていると解し、民法第612条第2項による解除を認める見解もあるようです。
しかし、民泊が無断転貸に当たるとして契約解除を行う場合には、賃借人から外国人観光客などの宿泊者に物件の占有が移転したといえなければなりません。
この点、一般に旅館の宿泊客は独立の占有者ではないものと解釈されており(最高裁判所事務総局民事局監修『執行官事務に関する協議要録〔第三版〕』(法曹会 1997)91頁 質問189番)、民泊もこれと同様に考えられますので、民泊への宿泊は民法第612条にいう転貸には当たらない可能性が高いでしょう。

以上からすれば、民泊の問題を無断転貸と捉えて、賃貸借契約を解除するのは、現状難しいと考えられます。

用法遵守義務違反を理由とした契約解除

もうひとつの契約解除の理由として考えられるのが「用法遵守義務違反」による解除です。
ご存知の通り、賃貸借契約において借主は、契約又は目的物の性質によって定まった用法に従って、その借りた物を使わなくてはなりません(用法遵守義務・民法第594条第1項)し、借主がこれに違反した場合には、賃貸借契約を解除することができます(同第3項)。

【(参考)民法第594条】
1.借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。
2.借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。
3.借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。

個別の事例によっても異なってくるところではありますが、通常、マンションなどを賃貸する場合、その賃貸借契約の使用目的は居住であって宿泊業を営むことはありませんから、賃借人が借りた物件を使って、無断で民泊を営んでいる場合には、用法遵守義務の違反を理由として契約解除を行う方が自然だと考えられます。(なお、滝口大志『早期解決を実現する 建物明渡請求の事件処理50』(税務経理協会 2016)等も同旨の見解です。)
この場合、当該民泊がいわゆる違法民泊であれば、用法遵守義務違反の程度がより高いものと考えられるでしょう。

用法遵守義務違反を理由に契約解除を行う場合、一般的には利用方法を改めるよう警告を行う、内容証明郵便による解除通知を出す等といった対応策を採り、それでも賃借人が利用方法を改めない場合には、民事訴訟を提起することとなります。

民泊を禁止する特約を契約時に結ぶのが大切なポイントです。

以上の通り、民泊を理由に賃貸借契約を解除する場合には、いくつかの問題点があります。

そこで、無断民泊を禁止するため、契約時に民泊を行っていないことを明記し、賃借人が民泊を行わないことを事前に確認する必要があります。
また、管理規約においても、民泊の禁止を明記し、周知徹底を図ることも大切です。

管理組合の事例となりますが、厚生労働省の『「民泊サービス」のあり方に関する検討会』にて参考にされた、物件の資産価値を高めるために民泊を絶対に認めないというスタンスを打ち出している分譲マンション「ブリリアマーレ有明」の管理規約を以下に引用します。

【BrilliaMare有明 TOWER&GARDEN 管理規約】
(専有部分の用途)
第12条
(1~3省略)
4.区分所有者は、理事会の決議で特に承認された場合を除き、専有部分を、直接・間接を問わず、「シェアハウス」に供してはならない。なお、本規約にて「シェアハウス」とは、専有部分の全部または一部(以下、単に「専有部分」という。)の利用形態が以下に掲げる各項のいずれかに該当する場合における当該専有部分の長期・短期の利用様式をいう。
(1)専有部分の居室(キッチン、トイレ及び風呂を除く。以下本項にて同様。)の数(以下「室数」という。)を超える数の者(区分所有者、区分所有者の親族、区分所有者からの賃借人、上記賃借人の親族(以下あわせて「縁故者」という。)を除く。)による継続的な居住、宿泊または滞在。
(2)室数を超えない数の不特定の者(縁故者以外の者でいずれの縁故者も常時かつ明確に住所、氏名及び職業(就業就学先を含む。)を把握していない者をいう。)による居住または宿泊。
(3)縁故者を含む複数の者による居住、宿泊または滞在で、直接・間接を問わず、複数の者から居住、宿泊または滞在の対価を徴収することを予定しているもの。
(4)前各号のためにする改築・改装。
5.理事長は、理事会の承認がないにもかかわらず、専有部分がシェアハウスに供されていると認めたときは、当該専有部分の区分所有者に、専有部分をシェアハウスに供することを中止するよう請求することができる。専有部分の区分所有者または占有者が合理的な理由を示さず第12条第7項の協力を拒んだ場合も同様である。
6.理事長は、専有部分がシェアハウスに供されているかどうかの事実を確認するため、随時、任意の区分所有者に対し専有部分の利用状況について口頭または書面で照会をすることができる。
7.前項の照会の結果、専有部分の外観、近隣住戸の居住者または専有部分に出入りする者等から任意に聴取した事項、各種媒体上で見分した賃貸情報などから合理的に判断して専有部分がシェアハウスに供されていると推認した場合、理事長は、理由を告げて、当該専有部分の区分所有者または占有者に対し、専有部分がシェアハウスに供されているかどうか実地に見分するため理事長及び理事複数名が専有部分に立ち入るのを認めるよう協力を求めることができる。

出典URL:http://www.mlit.go.jp/common/001121408.pdf

では、上記を受けて賃貸物件において、入居者との間に民泊を禁止するための特約はどのような条項を設けるべきなのでしょうか?
今回はブリリアマーレの管理規約を参考に、有効な条文づくりのポイントを井口先生に伺ってみました。

民泊禁止特約の作成するにあたってのポイント

民泊として利用されないようにするためには、賃貸借契約の用途はもちろん、賃貸人と賃借人の間の賃貸借契約書に居住者の範囲(または名称)を明示し、その者以外の利用を禁止する旨の条項を具体的に入れておくことが重要です。

もちろん、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」でも「賃借人は、賃貸人の書面による承諾を得ることなく、本物件の全部又は一部につき、賃借権を譲渡し、又は転貸してはならない。」と転貸を禁止する条文は存在していますし、前述の通り居住用不動産での無断民泊の経営は用法遵守義務違反となる可能性が高いものではありますが、民泊の禁止を徹底するのであれば民泊に特化した具体的な特約を設け、賃貸借契約締結時に賃借人との間で当該条項の存在と内容を確認しておくことも有効でしょう。

具体的な民泊禁止特約の例

  1. 賃借人は、貸室を自己の居住の用に供するものとし、他の用途に供してはならない。
  2. 賃借人は、賃貸人の承認がある場合を除いて、貸室を本契約外の第三者(常時かつ明確に住所、氏名、連絡先を把握していない者をいう。)に対して「民泊サービス」の用に供してはならない。なお、本契約において「民泊サービス」とは、貸室の全部または一部(以下、「本貸室」という。)において、以下の行為を行うことを意味する。
    1. 賃貸人の承認を得ず、本貸室に関して第三者を居住または宿泊させる行為
    2. 第三者を本貸室に宿泊、又は、それに準じる行為をさせること、及び、利益を受け取る行為
    3. 契約形態、契約期間の長短に関わらず、第三者に対して本貸室を貸出、または、賃貸借契約・使用契約を行う行為
    4. 前各号のために行う増築・改築・改装を行う行為
  3. 賃借人は、賃貸人の承認がある場合を除いて、「民泊サービス」のために以下の行為を行ってはならない。
    1. 手段、目的を問わず、本貸室を第三者に貸出するために広告等を載せる行為
    2. 本貸室を短期長期を問わず、借り受け又は使用する者を、対面または非対面での誘致活動、及び、WEBサイトへの掲載(以下、「誘致活動」という。)する行為
  4. 賃貸人は「民泊サービス」を賃借人が行っていると発覚した場合及びその恐れがある場合、賃借人及び同サービスの利用者等に対し、事実確認の為に口頭又は書面での照会をすることができる。
  5. 前項の照会の結果、近隣住民、及び貸室に出入りする者などから聴取した内容、及びインターネット上などの広告媒体の情報から判断し、合理的に本貸室を第三者に対して「民泊サービス」に使用していると判断される場合、賃貸人は、賃借に対しその行為を停止するように請求することができる。
  6. 賃貸人は、賃借人が前項の請求にも関わらず、本貸室を「民泊サービス」の用途に供することを中止しない場合、誘致活動を停止させない場合又は、「民泊サービス」の営業に関連する行為を中止しない場合、賃貸人は賃借人に対し、本契約を即時解除することができる。
  7. 賃借人は、前項の定めによって本契約を解除された場合、「民泊サービス」の営業によって賃貸人に生じた損害について、賃料のXヶ月分を最低額として賠償をするものとする。尚、本貸室の明け渡しについては本契約第XX条の規定に定める通りとする。

(※上記特約例は当社作成のものです。)

ポイントとしては、貸室の利用目的や、利用者の範囲を明確に定めておくことです。また、民泊を営む場合には、その前段階に仲介サイト等で募集行為を行うのが通常ですので、当該募集行為等についても制限を行う必要があります。

無断民泊は、近隣住民からの苦情や、セキュリティー上の問題など、様々なトラブルを生む恐れがあります。契約時から無断民泊を事前に防ぐことを心掛け、仮に賃借人が無断民泊を始めた場合には早期に対応を行うことが重要です。

今回お話を伺った「井口 賢人弁護士」のプロフィール

井口 賢人弁護士(江川勝総合法律事務所/第一東京弁護士会所属)
早稲田大学大学院法務研究科修了、明治大学法学部卒業
不動産関連分野、IT・コンテンツ関連分野を中心に、企業法務全般を取り扱うほか、一般民事案件も多く手掛ける。その他の活動として、第一東京弁護士会弁護士業務改革委員会第5部会(中小企業部会)委員や、明大法曹会事務局を務める。

まとめ

2017年の4月には民泊に関する旅館業法とは別の新法が制定される見通しとなっており、今後の空室が増加していくことが予想されることと、外国人観光客の増加を考慮しても、民泊に対して国はオープンな姿勢をとっていくことが予想されます。
2017年の新法では居住地域としての活用しか認められない地域での民泊の利用を緩和する、などの変更が予測されていますが、いずれにせよ賃貸物件を貸主の承認なしに民泊に利用する行為は許されません。

賃貸管理会社として、オーナーの物件の価値を守る上で、無断民泊(ヤミ民泊)を見過ごすことはできません。
「賃貸借契約書の特約に民泊禁止の内容を記載する」「民泊を営みにくい物件の管理体制を維持する」「公的機関・民間機関の対民泊サービスに相談する」などが賃貸マンションやアパートのオーナーさんや不動産管理会社に取り得ることができる対応策です。
今回ご紹介した対策方法を活用して、無断の民泊に対する対抗策を各社で持っておくことが重要になるでしょう。

編集・発行

ReDocS運営チーム(Bambooboy株式会社)

本記事は賃貸管理実務に関する一般的な情報提供を目的としています。個別の契約・法律・税務上の判断については、弁護士、税理士などの専門家へご相談ください。

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