入居者さんから、「部屋からダニっぽい虫が出てきて気持ち悪いんです。なんとか対応してくれませんか?」とご相談を受けました。
できるだけ、なんとかしてあげたいと思うのですが、バルサンを焚くくらいしか対応方法が思いつかないのです。
何かいい対応方法はありますか?あと、害虫駆除にかかる費用は誰が負担するものなのでしょうか?
梅雨や秋口は雨が多く、気温も湿度の高くなりムシやダニの発生確率も上がってきます。
女性の方であればムシやダニなどに対して苦手な方が多く、頻繁に大量発生してしまうとなると物件の解約理由にもなりかねません。
大家さんや賃貸管理会社には、ダニの発生について手出ししにくい部分であるため、どうしても発生してからの対応を余儀なくされ、なかなか対応が難しい部分であるかと思います。
今日は「貸室内でムシやダニが発生してしまっているときの管理会社の対応方法」について紹介していきましょう。
貸室内でムシやダニが発生した場合、どのように対応するべきなのか?
物件の築年数や立地している地域・気温・湿度などによって、ゴキブリやダニ・コナチャタテムシなどの虫が貸室内に大量発生してしまうというケースに賃貸管理を行っていると出くわすことがあるかと思います。
日常生活を行っていくなかで、虫やダニの発生を100%なくすということは不可能ではありますが、大家さん(不動産管理会社)側とすれば、賃借人へ貸室を使用できる状況で提供する義務があるため、クレーム発生時には何らかの対応を実施する必要があります。
では、具体的に虫・ダニが発生してしまった場合の対応方法について見ていきましょう。
まずは、発生している虫(ダニ)の種類を特定
虫やダニの対処を行うためには、貸室に発生してしまっている虫の種類を特定する必要があります。
ムシによって、「発生する原因」や「対応方法」が異なってくるため、闇雲に動くのではなく、入居者さんに協力してもらって発生しているムシ・ダニの種類を特定を行います。
※もしも、「入居者さんが苦手で見ることもできない」となった場合は不動産管理会社側で確認作業を行う必要が出てきます。
次に、貸室の利用状況を確認
基本的にムシやダニの発生しやすい環境というのは、以下のような状況が挙げられます。
- 高温
- 多湿
- 餌が豊富
上記のような観点から、どうしても梅雨の時期や夏の台風による長雨の時期などは虫やダニが発生する確率が増えてしまいます。
さらにここで注意しなければならないポイントは、貸室での生活環境です。
- 「お風呂の浴槽に常に水を張っている」
- 「埃やダンボールなどを放置している」
- 「室内や水回りの換気が不十分」
- 「結露によるカビや建具の腐食」
ムシやダニが発生するということは、上記のような環境下である場合も考えられるので、どのように貸室を利用しているのかという部分については注意が必要です。
もしも、該当する場合は入居者さんに生活環境の改善の協力をお願いする必要があります。
殺虫剤やバルサンなどで一次対応
発生しているムシの種類を特定し、生活環境の確認を行ったら、対象のムシやダニに効果のある殺虫剤やバルサンを焚いてもらって一次対応を行ってもらいます。
バルサンは孵化しているムシやダニには効果があるとされていますが、卵には効果を上げられないので、1回バルサンを焚いてから2週間ほど期間をあけて再度バルサンを焚くことを推奨されています。
生活環境の改善とこれらの一次対応でムシやダニの発生が収まるかどうか確認していきます。
それでもムシやダニの発生が収まらない場合は、害虫駆除会社に相談
貸室の利用方法の改善と一次対応を行っても効果が確認できない場合は、害虫駆除会社などの専門家への相談が必要であるケースかもしれません。
フローリングやクローゼットの建材や建具の中に、ダニなどの卵が潜んでいて、専門業者でないと対応できない範囲も想定されます。
また同時に、ムシ・ダニの発生しているのがクレームの連絡を入れた部屋のみなのか、それとも他の部屋でも起こっていないかどうかの確認を行います。
発生していたとしても、自分で解決することがでたのでマンションの管理会社には連絡しなかったというケースもありますので、対象の部屋の上下左右の入居者へ聞き取りを行うことが原因の切り分けにつながってきます。
解決に必要な情報を集めながら、害虫駆除会社・入居者と連携を取りながら対応を進めていきます。
ムシ・ダニの発生防止対応を行うのは入居者の「善管注意義務」でもあります。
ここまでは、不動産管理会社の対応方法について解説していきましたが、入居者自身にもムシやダニの発生防止対応を行う責任があります。
それを「善管注意義務」といって、例えば、「結露が出てしまっている場合については速やかに拭き取る」「定期的な換気を行う」などの行動が挙げられます。
害虫やダニの発生については、外的要因(気温や湿度、立地など)にも影響されるため、「何が原因で発生しているのか」が特定しずらいクレーム案件です。
そのため、管理会社が問題解決に取り組むのはもちろんのこと、入居者自身にも生活環境を見直してもらう(改善してもらう)ということは必要不可欠な要素であります。
また、それらを行うことが入居者の責任でもあるため、それを怠った場合は「善管注意義務違反」として取り扱うこととなります。
※例えば原状回復において、結露の放置による建具の腐食などは「借主負担」とガイドラインにも記載があります。
まとめ
ここまで、「管理している賃貸マンションやアパートにダニや虫が発生してしまった場合の対処方法」について解説していきました。
対応に必要なことは「発生しているムシ・ダニの特定」「貸室の生活環境の確認」「バルサンなどの殺虫剤の散布」が挙げられます。
貸主や不動産管理会社に、発生している問題について真摯に対応する責任があるとともに、借主にも「善管注意義務」といって、生活環境を改善するなどの責任があります。
ムシやダニが発生した場合、「どちらが悪い!」ということではなく、貸主・借主・不動産管理会社が協力して事態の改善に務めることが何よりも大切となります。
その舵取りを不動産のプロである賃貸管理会社が率先して行っていくことが重要であると言えるでしょう。
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