最近、契約していない人が勝手に駐車場に車を停めているみたいなんです。
でも、駐車場を四六時中監視することもできないので、無断駐車をしている人を特定することもできなくて。
このままだと、ちゃんとマナーを守って駐車場を使っている人にも迷惑がかかってしまう可能性があるので、早めに対応したいのですが、こんな時どうしたらいいでしょうか?
国交省が発表している「マンション総合調査」による「トラブルの発生状況」のデータを見てみると、最も多いトラブルの内容は「居住者間のマナーをめぐるトラブル」で55.9%となっています。
さらに、「居住者間のマナーをめぐるトラブル」において「駐車場の無断駐車」については、24.7%の人が違法駐輪も含めると、約40%の人がトラブルを経験したことがあると回答されています。
そのトラブル発生状況の具体的な内訳は以下のグラフのようになっています。
このように賃貸マンションやアパートの運営において、駐車場・駐輪スペースの無断使用や迷惑利用は多くの入居者の頭を悩ませている問題です。
また、これだけトラブルが発生してしまっているということは、不動産管理会社としても無断駐車や不正利用などが発生してしまった場合の対応方法を準備しておかなければなりません。
今回は悪質な迷惑駐車が起こってしまった時に、どのように対応すべきかをご紹介します。
「やられたらやり返す」は絶対NGな対応方法です。
まず絶対に行ってはいけないのが、以下のような対応方法です。
- 民間のレッカー会社さんにお願いして勝手に敷地外に車を出す。
- 勝手にタイヤをロックして利用不可能な状態にする。
- 違法駐車している車の前に駐車して、車を出庫できなくさせる。 など
迷惑駐車・無断駐車をしているのだから、同じことをされても文句は言えないだろう。というように、ついカッとなってこういったことをしてしまう方も多いのではないでしょうか?
しかし日本の法律では、法的手続きをしないで実力行使で権利を取り戻すことを「自力救済」といい、その行為は禁止されています。
【自力救済とは】
権利者が、公権力の力を借りずに自らの実力で権利を実現すること。原則として違法行為であるが、盗まれた品物を犯人から奪い返すことなどは許される。自救行為。
引用元:コトバンク
つまり、「相手が先に違法行為をしてきたんだから、こっちも違法行為でやり返してやる!」ということは認められていないのです。
むしろ、下手に車を動かして傷がついてしまった場合などは、それを理由に「車体に傷をつけられた。器物損壊だ!」などと言われて、その傷を直すために「損害賠償責任が発生する」可能性があります。
無断駐車を常習的に繰り返す人間は、こういうことを平気で言いだす人も少なくありません。
納得できないかもしれませんが、こういう時こそ感情的にならず、法的手順に則って対応してなくてはなりません。
基本的に民事案件においては警察は助けてくれません。
誰も契約していないはずの駐車区画に見知らぬ自動車が駐車されていた!
「こんな車は警察に通報してレッカー移動してもらおう!」と思って警察に連絡しても、残念ながら警察は対応してくれません。警察は公道での駐車違反は道路交通法違反としては取り締まることができますが、私有地内は基本的に介入しないという方針です。これは、「民事不介入」という個人間での私的な問題については当人同士で解決しましょうということが原則としてあるためです。
こんな時こそ管理組合や、不動産管理会社、各入居者さんが協力して無断駐車に立ち向かわなければなりません。
では迷惑駐車・無断駐車に対しての具体的な対応方法を見ていきましょう。
まずは「予防」と「警告」で、無断駐車をしづらい空気づくり
行動心理の一つに「割れ窓理論」という理論があるのですが、これは、「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、この場所の窓は割っても大丈夫」と思われてしまうというものです。
これと同じように「無断駐車がある」=「無断駐車しやすい駐車場」というように見られている可能性が高いです。
まずは建物の駐車場を客観的に見て、管理している物件の駐車場はどのような状況か確認してみましょう。
その上で駐車禁止の看板を設置したり、樹脂製のクルマ止めポールなどを設置するなどして簡単に駐車ができない環境づくりから始めましょう。
また、既に無断駐車が敷地内にある場合は、その車に張り紙などの警告をします。
内容としては、「ここは私有地ですので駐車をご遠慮ください。再度無断で駐車された場合には駐車代金として〜万円をいただきます。」などが適切でしょう。
あまり高額な罰金は効果が半減しますし、相手に反撃の隙を与えかねません。妥当な金額を記載しましょう。
また、執拗に罰金を請求すると恐喝罪にもなりますから、やんわりとした警告にとどめてください。
また、張り紙をする際はフロントガラスやボンネットなど目立つところにテープで貼り付けるのはやめましょう、前述のようにテープの粘着剤跡などを理由に逆にクレームを受ける危険性が高いです。ワイパーに挟む、テープ跡が残らないもので止めるなど、相手から文句をつけられないことに留意しましょう。
それでも無断駐車をやめない場合は車の所有者に直接警告を行う
予防策を取り、注意文での警告をしても一向に改善が見られない場合、もはや車の所有者に直接警告するしかありません。とは言っても、所有者が実際に駐車場に現れるのを待ち続けるわけにもいかないですよね。
こういった場合は所有者を調べて、直接、自動車の持ち主に警告する方法が有効です。
所有者を調べるのは意外と簡単で陸運局で自動車の「登録証明取得申請手続き」を行うことで、迷惑駐車を行っている車の所有者を特定することできます。
必要書類は、無断駐車している「車のナンバープレート番号」と「私有地放置車両関係位置図」と「証拠写真」を添付すれば、所有者を教えてくれます。
マンションの管理組合や不動産管理会社の名前で警告書を所有者に対して内容証明で送りましょう。
無断駐車を行う人の心理は「どうせ、誰だか分からないだろう」という軽い気持ちでやっている場合が殆どです。ですから、自分を特定されていると大抵慌てますし、駐車をやめるケースが多いようです。
まとめ
今回はマンションの迷惑駐車・無断駐車への対応方法をご紹介してきました。
上記の通り、予防策を練ったり、法的手順に則って対応をしたりと、なかなか骨の折れる作業となります。
もし、今回ご紹介した手順を踏んでも尚、無断駐車を続けるような悪質なケースな場合は最悪「訴訟」となる場合もあります。この場合は弁護士さんにお願いすることになると思いますので、費用面はもちろん、時間的、精神的な負担も相当なものになることを覚悟しなくてはなりません。
大切なポイントとしては、最初の一回を許さないことが大切となってきます。
無断駐車を放置したり、見過ごしたりしてしまうと、無断駐車をしている人間は「前もばれなかったし、大丈夫だろう!」と考えて、無断駐車を習慣化させてしまうことにつながります。
複数のマンションやアパートの賃貸を管理行っている不動産会社にとって、リアルタイムで無断駐車に気づくことはほとんど不可能です。
そのため、無断駐車をさせない予防策であったり、迷惑駐車があった場合に管理会社に連絡をくれる入居者さんとの関係づくりなどを行い、良好な住環境を保てるように努めていく必要があります。
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