「隣の部屋に住んでいる人の騒音をなんとかして!できないなら引っ越すから引っ越し代を出して!」
という騒音クレームの連絡が来てしまった。
区分所有のマンションだから貸している部屋の隣の人は、自分が全く知らない人だから、どうしていいかもわからない。
それに退去費用を出せって言われているけど、大家側で払う義務はないよね?
分譲マンションのオーナーさんのお悩みポイントとして、所有する部屋の隣室に問題のある居住者が住んでおり、賃借人とトラブルが起きてしまったというケースをよく耳にすることがあります。
隣人トラブルが発展してしまって、オーナーに退去費用を請求してくる方もいらっしゃるようです。
ただ、自分に請求されても、その隣室は自身がオーナーではないので、どのように対応すればいいのかわからないと悩んでしまう方も多いようです。
今回はそんな「区分所有マンションで隣人トラブルが起きた時の対応方法」について紹介します。
隣人トラブル起因の引っ越し代を大家が支払わなくてはならないの?
まず、結論から申し上げますと、退去費用を負担する必要はありません。
なぜなら大家さんはあくまでも部屋を貸しているだけであり、その隣室トラブルの原因ではないため、その責任を取る必要はありません。そのため、入居者に対しては引っ越し費用は出さないことをしっかりと伝えましょう。
とは言っても、入居者さんは大家さんにとっては大切なお客様ですから、突っぱねるだけというわけにもいかないのが現実です。そのため、状況改善に向けてなんらかの対策を行ってあげることは必要であると言えます。
そして何よりも問題なのは、その隣人を放置することで、今後、別の入居者の方ともトラブルを起こし続ける危険性が残ってしまうということです。
では、具体的にどのような処置を講ずるべきなのでしょう?
STEP1.隣室の大家さんに対して、クレームの存在を伝える
対応を行う前に注意が必要なこととして、大家さんが直接トラブルを起こしている方に苦情をするのは避けたほうがいいでしょう。「自分が話した方が早い!」と考える方もいらっしゃるかと思いますが、事態をより悪化させてしまう可能性があります。
まずは、隣室を所有する大家さんに対して自室の入居者からクレームが入っていること、迷惑行為をやめてほしいことを文章で伝えましょう。その際、こちらの入居者があなたの入居者の迷惑行為を理由に退去した場合は損害賠償請求も検討するなど伝えることも良いでしょう。
常識のあるオーナーさんであれば、トラブルを起こす隣人に対して何らかの対応を取ってくれるはずです。
しかし、こういった方の場合クレームを受けるのが初めてでないという場合もあります。そのようなケースでは相手方のオーナーさんも他の入居者さんからのクレーム対応に苦慮していることも多いようです。
STEP2.トラブルについて管理組合やマンション管理会社にも相談を!
こういった問題で大切なのは、より多くの方を巻き込んで対応することです。そこで管理組合や管理会社に事態を報告し仲介や対応を依頼することも大切です。
管理組合にはマンションの事を定めた「区分所有法」と言う法律を根拠に、トラブル常習者の迷惑行為が「共同の利益に反する行為」と認められれば、総会で「行為の差し止め決議」(議決件数の過半数)、「専有部分の使用禁止決議」、「専有部分の競売決議」(いずれも区分所有者数及び議決権数の3/4以上)の決議を行う事で可能になります。
また、マンション管理会社と連携して監視カメラの映像を確認依頼をすることも方法の一つです。
管理会社の方が監視カメラの内容を確認して、隣人の迷惑行為が器物損壊など明らかな刑事罰を課せられる根拠があるもだと証明できた場合には警察に通報することも可能でしょう。
※監視カメラの利用については、特定の個人を特定するために設置したり、みだりに第三者に見せてしまうと「プライバシーの侵害」となってしまうことがあるので、取り扱いについては十分に注意が必要です。
いずれにせよ、事態が複雑な場合には管理会社の顧問の弁護士さんに相談するなどの手段が必要になってくるケースも多いのでマンション管理会社への報告は検討すべきでしょう。
STEP3.契約前に問題ある隣人の存在を事前に伝えることも大切
ここまで、区分所有マンションで隣人トラブルが起きた時のオーナーさんの対応についてご紹介してきました。
前述の通り、隣人の迷惑行為を理由に引っ越しの費用負担を賃借人から求められた場合、法的にはオーナーさんに負担する義務はありません。
とは言っても、解決までの時間や負担を考えると泣く泣く金銭で解決するというケースも多いようです。
こういった状況に陥ってしまった場合、トラブルの原因を解決することも大切ですが、募集や契約の際には隣人トラブルが頻発してしまっていることを隠さずに情報開示することをおすすめします。
そういった、物件には人は住みたがらないため、賃料ダウンは懸念される部分ではありますが、隣室にトラブルを起こす可能性が住人がいることを重要事項説明の際に隠してしまい、入居後トラブルとなった居住者から説明義務違反があったことを理由に損害賠償を求められたという事例もあるのです。
個人情報に触れる内容までは伝える必要はありませんが、客観的にトラブルを起こす可能性が高い隣人が居住しているということを伝え、合意の上で入居していただく方が安全でしょう。
まとめ
ここでは、「入居者間のトラブルによる退去費用は大家が負担すべきかどうか?」という視点から費用負担をする責任があるのかどうか、隣人トラブルが発生してしまっている場合の対応方法についてご紹介してきました。
マンション経営や賃貸管理を行っている中で、隣人トラブルの発生リスクというものはどうしてもつきまとってくる問題です。そういった、近隣トラブルが原因で退去費用を請求されたとしても、それは貸主が負担すべき費用ではありませんが、状況改善のためになんらかの対策を行うことは大家さんとしても求められる部分であると考えられます。
こういった場合、入居者さんは感情的になられている部分も多いので、「自分はあなたの敵ではない」「一緒に問題を解決していきたい」ということを感じてもらいながら対応を進めていくことが必要となってくるでしょう。
この記事は「クラウド賃貸管理ソフトReDocS(リドックス)」が運営しています。
私たちは、「不動産管理ソフトを活用することで解決できる課題」だけでなく「不動産管理に関わる全ての悩み」を対象として様々なことをお伝えしていきます。