「サブリース事業を始めようと思うけど、どんなリスクがあるのであろう?」
サブリース事業とは、家賃保証契約や滞納保証契約とも呼ばれる賃貸管理業務委託の形態の一つで、そのマンションやアパート(ビル)を不動産管理会社が一括で借り上げて、入居者へ転貸するというかたちになります。
サブリースについて検索を行っても、オーナー(大家さん)様側への説明が多く、不動産管理会社がサブリース事業に取り組むにあたってのリスクや説明を行っているページは少ないように思えます。
今日は、「賃貸管理会社がサブリースを行うメリットとリスクやデメリット」について解説していきます。
サブリースを行うメリット
まず、不動産会社がサブリース事業を行うメリットについては、以下の2点があげられます。
- 高い利回り(収益性)で物件を管理することができる。
- 自社の営業努力が収益に直結する
■高い利回り(収益性)で物件を管理することができる。
PM業務委託では、どんなに高くても総賃収の5%前後がPMフィーの上限というのが一般的です。
対して、サブリースの場合、空室や滞納のリスクをオーナーに代わって背負うこととなりますので、満室であれば満室想定賃料の10-20%といったサブリースフィーを獲得することができます。
■自社の営業努力が収益に直結する
PM業務委託(一般管理や家賃回収業務など)に比べて、サブリース業務は全て収益に直結するものとなります。
いかに空室を高く貸せるか、テナントからきっちり家賃を回収する、工事業者の選定といった各業務で挙げた成果が自分たちの収益に与える影響が大きくなるため、PM業務委託に比べて業務に対するインセンティブが発生すると考えられます。
サブリースを行うデメリット・リスク
逆に、不動産会社がサブリース事業を行うことについてのリスクやデメリットは、以下の3点があげられます。
- 空室・滞納・相場下落のリスクを抱えることになる
- マスターリース保証金(敷金)による、一時的なキャッシュアウト
- 固定費用の上昇に伴う経営の硬直化
■空室・滞納・相場下落のリスクを抱えることになる。
一括で借り上げるため、空室や滞納のリスクをオーナーに代わって抱えることとなります。
満室であれば高いサブリースフィーを獲得することができますが、稼働率の減少や滞納テナントの存在は収益の減少に直結することとなり、最悪の場合、収支がマイナスとなる可能性があります。
また、建物の使用年数の増加に伴って、賃料下落リスクも想定されます。サブリース時に見積もった家賃額が相場賃料を下回ることも想定されるため、サブリース時の賃料査定やマスタリース契約の更新時の減額交渉などがポイントとなります。
→滞納のリスクは保証会社の利用によって軽減することは可能(保証会社の倒産リスクはあります)
■マスターリース保証金(敷金)による、一時的なキャッシュアウト
マスターリース契約の内容にもよりますが、オーナーさんから一括で借り上げる際に保証金(敷金)を積む必要がある場合があります。
その場合、サブリース賃料や敷金が入ってくるまではキャッシュアウトのみとなるので、経営上、キャッシュフローが悪化する可能性があります。
また、マスターリース保証金は資産項目として経理計上されるため、経費とすることができません。
■固定費用の上昇に伴う経営の硬直化
サブリース事業(家賃保証事業)を行うと、毎月マスターリース賃料(空室保証家賃)を物件所有者に対して支払わなければなりません。そのため、一般管理を行っている時に比べて固定費用が大きくなり、その分、経営の自由度を硬直化させる要因となる可能性があります。
まとめ
ここでは、「不動産会社がサブリース事業を行うにあたってのメリットやデメリット・リスク」について解説していきました。
サブリース事業については様々なリスクがあるものの
- 相場賃料の調査精度
- マスターリース金額や契約内容の精査
- 高いリーシング力(空室誘致力)
があれば、収益化することができるビジネスであると考えられます。
サブリース事業を行う上では、どれくらいの稼働率であれば黒字なのかということを賃貸管理の担当者レベルで意識統一を図ることが大切です。今この物件は赤字なのか黒字なのかを十分理解した上で、営業活動を進めていけるような環境を作っていくことがサブリース事業において重要な観点の一つであるといえるでしょう。
※個別の契約内容によってリスクについてや損益分岐の考え方が異なってきますので、こちらのご説明については一般的なサブリース事業の概念として捉えていただければ幸いです。
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