進む若年層のクルマ離れ。マンションの空き駐車場への空室対策とは?

自動車の利用者数の減少から敷地内駐車場の稼働状況について問題視しているオーナー様や賃貸管理会社も多くなってきているように感じます。

若年層の車離れ
オーナーからの相談

テレビなどでもよく見るけど、最近の若い人は車を買ったりしなくなったんだってね。
車離れの影響かわからないけど、うちの駐車場も空きが目立つようになってきたな。

駐車場利用者を積極的に誘致していきたいんだけど、何かいい方法はありますか?

一昔前までは、マンションの駐車場は「満車」が当たり前でしたが、最近ではかなり様相が変わり、空きの目立つ物件も珍しくなくなっています。敷地内駐車場の稼働状況について問題視しているオーナー様や賃貸管理会社も多くなってきているように感じます。

マンションの駐車場が空いていることと、管理費には大きく関わりがあることをご存知でしょうか?
駐車場はマンションの収益を生む重要な資産であると同時に負債ともなりえる問題も含んでいるのです。

今回は、「空き駐車場の増加によって起こりうる問題とその解決方法」をご紹介します。

なぜ、マンションの駐車場に空きが増えているのか?

かつては、一家に1台が当たり前だったマイカーですが、それも今は昔。
車離れや高齢化など様々な要因で車の都市部でのマイカー所有率は減少傾向にあります。その結果、物件によっては恒常的に2~3割以上も駐車場が空いているような深刻な事例も出てきました。

駐車場に空き区画が増加している原因として、3つの理由があります。

理由1:進む車離れ(自動車保有者数の減少)

下記のグラフを見るとわかるように、都市部での車離れは進んでいます。

引用先URL:ソニー損保、「2015年 新成人のカーライフ意識調査」

マイカーを持たない人の理由は様々です。

  • 非正規雇用のため、車を購入する経済的余裕がない
  • 若年層を中心に車への心理的距離が大きくなっている(そもそも興味を持っていない)
  • 高齢化によって、運転をやめた
  • 公共交通機関の充実により、そもそも車の必要性を感じない
  • カーシェアリングを利用している

このような様々な要因によって、車離れは今後も進んでいくことが予想されます。

理由2:車種の変化による駐車場構造とのミスマッチ

かつてはマンションの駐車場利用率は100%が当たり前であり、駐車場に空きがあるという状況ではありませんでした。そのため多くのマンションでは、機械式立体駐車場等の導入で、1住戸当たり駐車場1区画に近づける設置に腐心しました。

しかし、クルマの大型化が年々進むなか、機械式の場合、車両のサイズや車高、重量に制限があるうえ、下段部分の区画については出入庫に時間がかかるなど、使い勝手の面での問題が目立つようになってきました。その結果、マンション内の設備をあえて利用せずに、外部の平置駐車場を利用する居住者が見られるようになってきました。

理由3:硬直性の高い「利用規約」の存在

分譲マンションの場合、駐車場の利用に関する条件やルールが新築当時から定められていることも多いと思いますが、それがその後の居住者の事情や実需の変化に適合できていないケースも多いように思われます。

例えば、以下のような事例があります。

  • 周辺の駐車場料金の相場は下がっているのに、マンション内の使用料は初期の設定から変わっていない。
  • 利用者資格の制限(賃借人は利用できない等)があるために、居住者ニーズの取り込みが十分できていない。

少し探せば、他にも募集をしている駐車場もネットですぐに見つかるという環境であれば、そちらを選択する方も少なからずは存在するようです。

空き駐車場が増加することによる問題点とは?

多くのマンションでは駐車場収入を管理費や修繕積立金に充当していることが多く、駐車場収入が減少すると管理費や修繕積立金が不足し、それが原因で管理費などの費用を値上げをしなければならなくなります。

さらに厄介なのが、機械式駐車場を設置しているマンションです。
平置きの駐車場ではなく、機械式であるため定期的な点検や部品の交換が必要であり、さらに耐用年数は長くても20年といわれています。

新しい設備に入れ替えるには、1台(1パレット)当たり100万円前後の費用が必要と言われています。
機械式駐車場設置時の想定駐車料金を回収できているのであれば問題はありませんが、駐車区画の稼働率が悪化している場合、管理費や修繕積立金に充当するどころか、駐車場の維持管理費すらまかなえないという事態にもなりかねません。

空き区画のために収益が下がっているのであれば、既存の駐車場利用者の賃上げという手段も考えられますが、他の駐車場においても空き区画が存在する場合は、賃上げ交渉が引き金となって契約解約ということにもなりかねません。

管理費不足にならないための空き駐車場への改善策

前述のように、駐車場の空き問題を放置すると、の財政状況悪化 → 必要な管理や修繕が行えない → 所有者の負担増という悪循環に陥るリスクが高まります。

そのため、もし駐車場の空き割合が恒常的に高い場合は、すぐにでも改善策を検討する必要があるでしょう。
検討の手順としては、以下の方法で進めることをお勧めします。

①住民アンケートの実施

まず、問題解決のために重要なことが、なぜ駐車場が利用されていないのか、その原因を把握することです。
そのために、まずは居住者を対象としたアンケートを実施し、入居者の駐車場へのニーズの有無、利用しない理由を把握しましょう。

想定される回答は、使用料の設定が高い、高齢化、家族構成や経済事情の変化、利用資格の制限、駐車場自体の利便性や制限など様々ですがなるべく多くの居住者から回答を集めて原因を特定することが第一です。

また、自家用車を所有しているにもかかわらず、外部で手当てしている台数(2台目を含む)があるかも確認します。その他、用途転用の可能性を確認するため、バイク置き場や駐輪場、トランクルーム、カーシェアリングへのニーズを尋ねてもよいでしょう。

②有効な対策案の検討

アンケートの結果が集計できたら、駐車場の空きの要因から、居住者による利用が見込める場合と見込めない場合に分けて対策案を検討します。

居住者による利用が見込めるケース

⑴ 料金設定が周辺相場に対して使用料が高いために、外部流出している場合
→周辺相場を調べたうえで、使用料の改定を検討します。

⑵利用者の制限など、利用規約のミスマッチが原因である場合
→セカンドカーの利用や賃借人の利用者が見込めるのに現在認められていない場合には、管理規約や使用細則の見直しを適宜検討します。

⑶車両サイズや高さの制限が原因の場合
→機械式駐車場の場合新型パレットへの入れ替えによって、サイズや高さの制限を緩和する。または、平置きや自走式へのリニューアルを検討する。

居住者による利用が見込めないケース

⑴ 外部貸しの検討(サブリース)
→外部の利用者が見込めそうなら、管理組合の収益改善のために検討の余地はあります。しかし外部に貸すことで、それは営利事業とみなされ、課税の対象ともなるため、思ったほど収入の改善に繋がらないという結果にもなりかねません。
また居住者以外がマンションに出入りすることになるため、セキュリティ面についての反対意見もでるでしょう。サブリースについては導入までに金額シミュレーションなど検討すべき事項が多いでしょう。なお、課税の対象になるのは駐車場全体ではなく、サブリースしている区画のみになります。

⑵ 維持管理費節減の検討
→機械式駐車場の場合には、通常の場合定期保守点検を実施しているため、利用されない設備が多い場合には、保守点検を中止するなどの措置を検討してもよいでしょう。
また空き状況によっては上部、若しくは下部の1段だけを通常の平面駐車場と同じように利用し、機械運転を止めてしまうという方法をとることもできるでしょう。この方法は電気代、及び管理メンテナンス代が以降に発生することがありませんので出費を抑えるという点では有効です。しかし、次に運転を再開させる際に正常に作動するかどうかの保証ができない為、再稼動の際は高額の出費が予想されます。「2度と動かさない」という場合は一番、費用負担がいらないお手軽な解決方法です。

⑶ 利用用途の変更の検討
→最近では、機械式駐車スペース部分に別ユニットを組み込んで、自転車専用の駐輪スペース、バイク専用駐輪スペースなどに変えて利用するマンションも誕生しつつあります。中には物置を組み込み、入居者用のサブトランクルームボックスとする場合もあるようです。アンケート結果を参考に、入居者がどのような用途への転用を希望しているのかを判断すると良いでしょう。
※利用用途の変更する場合は、駐車場の附置義務の範囲や用途地域の確認、容積・建蔽率の確認などを各要素の検証が必要です。

まとめ

ここまで、「管理しているマンションの空き駐車場への空室対策」について解説していきました。
貸室の空室募集(リーシング活動)に比べて、駐車場の募集は後回しにされがちなところがあるかと思います。
平置きの駐車場の場合であれば、利用希望者を待つというのでも良いかもしれませんが、機械式駐車場を管理している場合については、コスト意識を少し強めていく必要が出てきます。

まずは、現在住んでいる入居者さんの利用状況や駐車場に対する意識調査などを行い、そこにアプローチしていくのが真っ先に行える空室対策ではないかとカンガられます。

マンションの多い大都市圏を中心に、車離れと高齢化は今後ますます進むといわれています。
それを踏まえると、駐車場の空き問題は不動産管理にとって深刻な問題に発展する可能性があり、早目に対策を検討しておく必要があるのではないでしょうか?

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