家賃管理・滞納対策

賃貸マンションやアパートで「町内会費」の支払いを義務とするのは有効?

ここでは「賃借人に対して賃貸借契約で町内会への加入を強制することは可能か?」について紹介しています。

ここでは「賃借人に対して賃貸借契約で町内会への加入を強制することは可能か?」について紹介しています。

町内会費の支払いを義務化するのはOK?
オーナーからの相談

この前、入居者さんにたまたまあった時に「賃貸マンションやアパートなのに、町内会費が契約で必須っておかしいんじゃないですか?」と言われたんです。

これまでマンション経営をしていて、みんな当然のように払っているからそれが普通だと思っていたんですが、町会費を義務付けるのってダメなものなんでしょうか?

賃貸管理を行っていると、新しく入居される方からこんな質問を受けたことはありませんか?
近年の都市部でのマンション・アパートでは、隣室の居住者や地域住民と接触を持たない方のほうが多く、若年世代の方には町内会への加入を避けたいと考えている方も少なくありません。

今回は「賃貸借契約で町内会への加入を強制することは可能か?」について紹介します。

借主に対して町内会への加入を義務付けても問題はありません。

まず、賃貸借契約の契約書で町内会への加入を必須とすること自体は問題ありません。

これは、民法の原則として、契約自由の原則があるためです。

契約自由の原則

契約を当事者の自由にまかせ,国家はこれに干渉してはならないとする近代法の原則 (→私的自治の原則 ) の重要な一つ。その内容は通常,契約をする自由としない自由,契約の相手方選択の自由,契約内容決定の自由,方式の自由,契約変更ないし解消の自由の5つに分けられる。

引用元:契約自由の原則 - コトバンク

つまり、賃貸借契約書に「乙は町内会への加入を必須とする」と書いて、町内会費を請求しても、法令や公序良俗に反せず不合理でないと言える金額であれば問題ありません。
なぜなら、契約ごとについては当事者同士(この場合は貸主と借主)の合意によって形成されるため、法令や公序良俗に違反しない範囲であればそれは認められます。
ここでは、契約締結前に借主に対してあらかじめ町内会への加入が必須であるということについて、お互いに合意がなされているため、この契約事項は有効とされます。

ただし、支払いを強制できるかというと少し話は違ってきます。

町内会費の支払いを義務付けることはできない。

契約書に「町内会への加入必須」「賃料等ともに町内会費を支払う」と書いているんだから、契約したら町内会費を支払うべきというのは一見筋が通っています。
しかし、入居後に加入した町内会を脱退した場合などは、町内会費の支払いをしなかったとしても、その支払いを強制することはできません。

なぜなら、基本的に町内会というのは任意団体であり加入する・しないというのは本人の自由だからです。
つまり、契約時には加入したとしても、それを脱退するのは本人の自由です。町内会自体が任意団体であるため、賃貸管理会社として、入居者に再加入などを強制する権利はありません。

よって、賃貸借契約において町内会への入会を必須とすることは当事者間の了解があれば可能。
しかし、賃貸借契約期間中は必ず加入していることを強制させることはできない。

対応策として考えられることは、「契約後に、町内会費の支払いをしていないことが判明した場合はそれを理由に契約解除、更新の拒絶などの対応ができる」旨を契約書に特約として定めるなどです。
しかし、そのような特約を定めていたとしても、例えば家賃を滞納するなどに比べると、賃借人としての義務違反の程度は軽微なものと言わざるをえません。借地借家法の賃借人保護の考え方から、町内会費を支払っていないという程度の理由で立ち退きや更新拒絶はできないという考え方が妥当でしょう。

町内会に入らないことを理由にゴミを捨てさせないのは大丈夫?

町内会トラブルについてよく聞くケースが、町内会に加入しない入居者にゴミステーションなど町内会が管理維持する施設の使用を禁止するという話です。中にはゴミを自分で市の焼却場まで持っていくように指示されたというケースもあるようです。

確かに町内会への未加入を理由に、町内会が催す行事や、管理する施設の使用を禁止することは妥当性があります。そういった行事や管理施設の運営費用は町内会費などから捻出されている場合も多々あるためです。

しかし、ゴミの廃棄は廃棄物処理法にも定めているように自治体の行政サービスとして対応しなくてはならないものなので、ゴミの収集自体は町内会に加入しているか否かにかかわらず享受する権利があります。

ゴミの判断については地域によりゴミ集積所利用の考え方や設置状況が異なる場合もあるかと思いますので、一概に判断が難しい部分です。そのゴミ集積所が公道に設置されているのか、私道や自治会名義の土地に設置されているのか、マンション等の敷地内に設置されているのか等によっても見解は異なりますので、トラブルに発展しそうな場合については市町村に確認を取りながら対応することが適切でしょう。

まとめ

町内会費の請求というのは風土さん管理会社にとって、耳の痛い話でもあると思います。

本来、町内会費の請求は自治会の仕事であり、マンションやアパートの管理会社にとっては請求する権利がない範囲です。しかし、町内会長や自治体の役員というのは往々にして地元の有力者や地主のケースも多く、今後の管理業務への影響を考えて、不動産管理会社によっては自治会に代わってマンションやアパート世帯の入居者に自治会費の徴収を代行しているケースもあるようです。

社会全体での人間関係の希薄化が叫ばれる昨今、町内会という地域の善意によるコミュニティーの存在自体がニーズにそぐわないものになってきているのかもしれません。
今回ご紹介した事例をもとに、入居者の方と町内会とがうまく折り合いをつけていける道を模索してもらうのも一つの手段かもしれません。

編集・発行

ReDocS運営チーム(Bambooboy株式会社)

本記事は賃貸管理実務に関する一般的な情報提供を目的としています。個別の契約・法律・税務上の判断については、弁護士、税理士などの専門家へご相談ください。

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