なぜ不動産管理会社はホームページを持つべきなのか?
突然ですが、あなたがお勤めの不動産管理会社では、自社のホームページを持っていますか?
- 今の時代、ホームページを持っているなんて、そんなの常識でしょう。
- いつかは欲しいと思っているんだけど、なんだかんだでまだ持てていない。
- そもそもホームページなんてよくわからないから要らない。
この質問に対するご回答については、企業の規模や経営の方針によって様々な答えがあると思います。
「自社のホームページを持っていない」と答えた方の中にも、不動産協会が提供している紹介ページを使っていたり、入居者募集のために「SUMO」や「アットホーム」などの大手不動産ポータルサイトを利用しているという方が多いのではないでしょうか?
このように今の世の中、ウェブからの集客を全く考えないという方はもはや少数派でしょう。
しかし、それでも賃貸不動産会社の中には自社でホームページを所持していないという方も少なくはありません。
その理由として、私たちが賃貸管理ソフトの運営を行う中で、ホームページを持たないお客様にお話を伺ったところ、「協会のページやポータルサイトで十分」という答えが多いのです。
確かに、不動産ポータルサイトは自社ホームページよりも圧倒的に多くの人に閲覧されることが可能であり、不動産協会の紹介ページは手間を掛けずにインターネット上に自社の情報を公開することが可能になります。
しかし、ポータルサイトなどでは、どうしても画一的な情報しか提供することができず、「自社がどのような会社なのか?」「どんなことができる会社なのか?」ということを伝えるには不十分であるとも言えます。
本記事では、不動産管理会社における、正しいホームページの活用方法を解説し、「なぜ自社でホームページを持つべきなのか?」をわかりやすくご説明します。
※ここでは、まだ自社ホームページをお持ちでない不動産会社様を想定してお話を進めていきます。
自社でホームページを持つ目的とはなにか?
まず、一般的に企業がホームページを持つ目的として、以下の3つが挙げられます。
- 見込み客の獲得
- 自社のブランディング
- 既存客とのコミュニケーション
この「3つの目的」の内、どれを重視したいと考えるかが、自社ホームページを持つ上で非常に大切なことになります。
よくある間違いが、「何となくホームページを持ちたい」と考えて、大手サイトと似たような検索機能を取り付けたり、とにかく掲載する物件情報を多くしようとしてしまうことです。
このような目的のはっきりしないホームページの作成は当然ですが効果は期待できません。
「ホームページを作ったけど失敗だった。」という意見に陥ってしまう大きな原因は上記のように、「ホームページを持つ目的が不明確なまま進めてしまう」ことです。
不動産会社と一口にいっても、賃貸管理や賃貸仲介、不動産売買、コンサルティング、資産活用、リフォームなど様々な業態があり、それぞれ売り出したい自社の強みは違うはずです。
そうであるならば、当然、各不動産管理会社ごとに注力すべき部分も変わってくるのではないでしょうか?
集客を狙うなら、まずは大手ポータルサイトから漏れた顧客を狙うのが得策です。
「集客に力を入れたい」と考える方は、まず見込み客を想定しなくては行けません。
しかも、それは大手ポータルサイトのターゲットとは違う層を狙う必要があります。
例えば、引っ越しを考えていてインターネットで「東京 賃貸」と調べる人がいるとします。
こういう方をまだホームページを持っていない不動産会社が狙うのは得策でしょうか?
答えは「ノー」です。
それは理由は単純でこの「東京 賃貸」のような多くの人が検索するワード(ビッグワードといいます)は、当然のことながらライバルが多いのです。
つまり、よく調べられるけど、賃貸ポータルサイトなどが盤石の地位を築いていることが多く、なかなか新規参入が難しいワードなのです。
では、どのようなワードが適切なのでしょうか?
検索結果において上位表示できるように、ホームページを構築していくことを「SEO」(Search Engine Optimization)といいます。
そのSEOを考える上で重要なのが「キーワード」の選定です。
つまり、どのようなワードで検索された時に、自社のサイトが上位表示されていたいかを考えることが第一歩です。
例えば、前述の「東京 賃貸」で検索する人はこんな人ではないでしょうか?
- 引っ越しを考え始めたくらいでなんとなく賃貸物件を見ている
- 具体的に引っ越したい地域や予算は決まっておらず、希望している条件もぼんやり
- いろんな部屋を見ながら決まればいいなぁ
つまり、「なんとなく」と物件を探している段階で、そこまで強いニーズはないと予想できます。
こういう人には情報量が豊富で、たくさんの物件を比較できるポータルサイトが最適です。
事実、「東京 賃貸」と検索した場合、賃貸ポータルサイトばかりが表示されているので、ここに今から上位表示を狙うのは並大抵の手間と覚悟では実現できません。
そのため、「これから自社サイトで集客もできるようになりたい」と考えている不動産管理会社様に私たちが提案するとすれば、「ポータル賃貸サイトを見た後のお客さん」をうまく集客できるようにウェブ戦略を考えます。
具体的なお客様像としては、ポータルサイトを見たあとに、以下のような考えに至った人です。
- 「いまいちいい物件がなかった。」
- 「なんとなく〇〇あたりがいいかなぁ」
- 「ペットが買いやすいエリアってどのあたりだろう?」
- 「このマンションの情報もっと知りたい!」
このような具体的なニーズが生まれた人が狙うべきターゲットになります。
こういうニーズを持った方は、次に「地名 住みやすさ」「物件名 立地」「マンション名 賃貸」などより具体的な検索ワードで調べ直します。
この具体的なキーワードを予想し、それにフィットしたホームページを作成することでより精度の高い見込み客に自分たちのホームページを見せることができます。
では、狙うべきターゲットが決まったら次はなにを考えるべきなのでしょうか?
ホームページでは自社にしか出せない強みを出そう!
次に取り組むべきことは、ズバリ「自社の強みを活かすこと」です。
では、「自社の強み」を活かしたホームページとは具体的にはどのようなホームページなのでしょうか?
それはポータルサイトや不動産協会の会社紹介ページとは違う、画一的でない情報を掲載することです。
ざっくりした言い方になりますが、ホームページを見た人が「この不動産屋さんなんとなく良さそうだな。」「このサイト面白いな。」と思わせることができたら、第一段階はクリアしています。
少し不動産の話からそれますが、マイクロソフトのビル・ゲイツは「コンテンツ イズ キング」という言葉を残しています。
現在この考えはWEBの世界では主流になってきており、ただ情報を掲載するのではなく、見る人にとって価値のあるもの「コンテンツ」を掲載することが重要と考えられています。
検索順位の決定において、かつては「被リンク数」(他のサイトからリンクをもらっている数)が多いほど有益なサイトとされていました。
しかし、大手検索エンジンの「Google」は現在「被リンク数」と同じくらい内容が検索者にとって「有益な情報であるか」を重要な要素として判定しています。つまり、中身はスカスカのホームページはいくら被リンクが多くても評価されなくなったということです。
具体的には...
- コピーコンテンツ(ほかサイトからの転載ばかり)ではないか?
- サイトの構成が検索されているキーワードにマッチしているか?
- 豊富なコンテンツを有しているサイトか?
- 読み進めるのが苦痛になるような構成になっていないか?
- 専門用語を使わず、一般的な人がよく使う言葉を考慮しているか?
などを重視しているのです。
つまり、「他のサイトに載っていない情報を豊富に有している、読みやすいホームページ」を持つことは、そのまま検索順位にも直結するということを意味します。
例えば、「スタッフがおすすめする物件近くの本当に美味しいお店」「〇〇地区のペットと一緒に入れるカフェ」「このマンションに住むなら、このスーパーが便利」などを紹介したり、ランニングにオススメな散歩コースを写真付きで紹介したりするようなコーナーを自社サイトに作ってみたとします。
これは、引っ越しを考えている見込み客にとっては非常に有益な「コンテンツ」になりますし、地元で実際に生活している人でなくては提供できない情報になるので、独自性も確保することができます。
ここまで、ホームページの集客について解説してきました。
しかし、冒頭でも触れたようにホームページの効果は集客だけではありません。
では、他の場面ではどのようなサービスを提供できるのでしょうか?
自社ホームページをうまく活用することで、既存のマンション・アパートの入居者にもメリットを提供できる。
自社ホームページを持つことで、管理物件に既に入居中の人たちにとってもメリットを提供することができます。
例えば、入居者が退去したいと思った時、ホームページがなければ入居者の方は管理会社に連絡して「解約通知書」を郵送してもらい、記入後返送をする必要があります。
これは不動産管理会社からすれば当然のことかもしれませんが、入居者からすると「非常に面倒くさい」ルールとも言えますよね。
そこで、自社のホームページに「解約通知書」のフォーマットをダウンロードできるようなページを作ってみるというのはどうでしょうか?
入居者の方としては待たされることなく解約通知書を受け取ることができます。
他にも、入居時に渡す部屋設備に関するしおりやお問い合わせ先の一覧などが紛失してしまっていざ必要なときにみつからないとなっても、ホームページからダウンロードできれば入居者の方にとってはありがたい機能になります。
管理会社にとってもメリットになる
解約通知のダウンロードは一例ですが、入居者の方にとってメリットがあるだけでなく、管理会社としても「退去連絡の受付」→「解約通知書の作成」→「郵送」という業務のフローを省くことが可能になるのでメリットがあるといえるでしょう。
また、地域のオススメグルメスポットや観光名所、犬と散歩できるコースやペット同伴可能な飲食店のご紹介などのコンテンツをホームページに掲載しておくことは、入居した方にとっても有益な情報といえます。
自社ホームページというと集客や物件の広告の場と考えてしまいがちですが、例えば管理をメインに行う不動産管理会社様であれば、入居者の方とのふれあいの場として提供することも有益な戦略と言えるのです。
ホームページの運用は戦略的に!
ここまで、ホームページを自社で持つことのメリットをご紹介してきました。では、一体どんなホームページを持つことが自社にとって最も有益なのでしょうか?
その答えはまず、御社の中長期的な経営戦略、ホームページに捻出できる資金、運営する人材の有無、自社の強み、などを客観的に書き出してみることが大切です。
そして、それを誰に向けて発信したいのか?という「ターゲット」を正確に把握しておくことが重要になってきます。
例えば、募集に強みを持っていて仲介をメインに行いたいという方であれば、まず上位に自社のページが表示される必要がありますから、ターゲットとする顧客層が検索しそうなキーワードを選定し、SEOに考慮した内容を取り入れる。物件の検索機能を強化し、より顧客のニーズにマッチした部屋を探しやすくする、スマートフォンなどのマルチデバイス対応、などのサイト設計が必要になるでしょう。
逆に募集よりは管理業務をメインに行いたいという方であれば、ターゲットはオーナーや現在の入居者になるわけですから、オーナーの方に管理に対する感想をインタビューして、その内容を掲載したり、入居者の方向けのコンテンツを設置したりすると良いでしょう。
また土地活用のコンサルティングやマーケティングを強みとする会社の場合、コンサルティングやマーケティングのような目に見えない商材を売り出す以上、求められるのは実績と人員の質となるでしょう。
過去のコンサル実例を掲載したり、スタッフの紹介ページなどで詳しくスキルの内容を記載したページを作成すると良いのではないでしょうか?
リフォームやクリーニングに自身のある企業であれば、実際の作業風景を動画に撮影してホームページに掲載するというのも、いいでしょう。
このような「自社にしかできないこと」を具体的に、且つ利用者にとって魅力のあるコンテンツとして提供することが不動産管理会社におけるホームページ運用の重要な要素になるのです。
ホームページとはWEBの世界のあなたの企業の看板になる存在です。そしてホームページは人間と違って疲れませんから、24時間働いてくれるのです。
だからこそ、大切な資源として、真剣に取り組む必要があるのです。
まとめ
今回は不動産管理会社における自社ホームページを持つメリットと失敗しないための考え方をレクチャーしてきました。
要点をまとめると...
- ホームページは集客、宣伝だけでなく顧客とのつながりの場と捉える。
- 自社の戦略(短期的でなく中長期的)を考慮したホームページ運用が重要。
- 誰に向けてのホームページなのかを明確にして、そのターゲットに適したコンテンツを作ろう。
自社でホームページを持つことで、ポータルサイトや不動産協会の紹介ページのような広告的な活用方法以外に、自社の魅力を確立したり、既存客との交流の場を持つことができるということはご理解頂けましたか?
ホームページを持つとなると、ついつい予算を重視して考えてしまいがちですが、「狙うべき見込み客はだれなのか?」「伝えるコンテンツはなにか?」「運用できる人材がいるのか?」などを中長期的な目線に立って考えて頂くことが重要になります。
ホームページをまだお持ちでない方も、なんとなく持ってはいるけれども活用できていないという方も、是非参考にしてみてください。
この記事は「クラウド賃貸管理ソフトReDocS(リドックス)」が運営しています。
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