契約の解約処理や退去精算では、貸主・借主双方との原状回復工事の費用負担調整はもちろんのこと、単に原状回復工事やルームクリーニングを発注するだけでなく、次回の入居者募集を見据えた業務対応などが求められます。ここでは、入居中のマンションやアパートの契約解約、退去精算業務について解説していきます。
解約業務の流れと、原状回復に関する規定を知ることが解約業務では必要不可欠です。
お金のトラブルに発展しやすい業務でもあるため、対応については確認を重ねて漏れなく進めていく必要があります。
これから、賃貸借契約の解約業務の流れについて解説していきます。
今回は、「普通借家契約」で部屋の賃貸借契約を締結している場合の解約業務、退去精算業務について触れていきます。ここでは、業務における大筋の流れを、用語についての説明を踏まえて解説していきます。
賃貸借契約において、部屋を解約する場合のほとんどが「借主」からの申出によるものです。
「貸主」側からの契約解約も契約上は可能ですが、借地借家法や消費者契約法などによて、借主は手厚く保護されているため貸主からの解約は「重度の滞納者」や「周りに迷惑ばかりかけている」など、納得できる理由(正当自由)が必要とされているため、貸主からの契約解約は稀なケースです。
そのため、解約業務は「借主からの連絡」からスタートします。
何らかの理由で借主から「部屋を退去(引越)したいから契約を解約したい」という連絡がオーナーや賃貸管理会社に連絡があります。
借主からの契約解約の意思を拒否することはできませんので、「契約解約の受付」と「退去理由のヒアリング」を行います。
契約解約の受付をする際に注意しなければならないことが「解約予告期間」です。
賃貸管理を行っていく上で非常に大切な用語の一つなので言葉の定義について見ていきましょう。
解約予告期間 (かいやくよこくきかん)
賃借人が賃貸人に対し、入居物件の退去日から起算して解約することを通知しなければならない期間。
解約予告期間が1ヶ月の場合、退去日の1ヶ月前には賃貸人に退去を通知しなければならない。
契約により異なるが、賃貸住居の場合は1ヶ月、オフィスビルの場合は6ヶ月が標準的な解約予告期間となっている。
賃貸物件において「明日で契約を解約したいです!」ということは賃貸マンションやアパート、事務所の種別問わず不可能です。
その理由は上述の「解約予告期間」がほとんどの契約にが設定されており、契約の解約には一定の猶予期間が設定されています。そのため、間違っても、借主から即時解約を依頼されても「はい!分かりました!」と返答してはいけません。
即時解約するには、「解約予告期間分の賃料を収めること」が条件となっている場合がなっているため、借主から解約の依頼を受け付けた場合、まずは契約書をみて解約予告が何ヶ月に設定されているかを確認しましょう。
解約の連絡を受け付けたら、「契約の解約希望日」「退去立会い希望日」「転居後の住所」「敷金返却口座」の情報をヒアリング、または解約通知書などを用いて取得します。
その後、入居者の退去と契約の満了日(解約日)を迎えたら、貸室の原状回復工事・ルームクリーニングの費用の見積り、貸主と借主の費用負担分を決めていきます。文字に起こしてみると簡単そうに思えますが、この費用負担分の調整が一番トラブルが発生しやすいポイントなので注意が必要です。
では、ここで「原状回復」という言葉の定義について見ていきましょう。
げんじょう‐かいふく【原状回復】
ある事情によってもたらされた現在の状態を、本来の状態に戻すこと。
例えば、契約を解除した場合、契約締結以前の状態に回復させること。
その言葉通り、「原状に」「回復する」ことを「原状回復」と言います。
では、この「原状」というのは何をさしているのでしょうか?
答えは、「契約当初の状況」を「原状」としています。
つまり、契約を解約して退去する際には、「入居した時と同程度の状況まで回復しなければならない。」というものです。
「原状」に戻すことが目的なので、「入居した時からあった傷」などは原状回復の対象にはなりません。
原状回復についてのガイドラインや詳細についての説明は次回に譲りますが、原状回復で揉める際によく出てくるフレーズの一つが
「これは、自分がつけた傷じゃない」
「入居した時からあった不具合だ」
といったものです。
また、場合によっては契約時に預け入れていた敷金額よりも工事費用負担分の方が高くて、敷金が戻ってくると思っていたのに逆に費用を請求されてクレームになる。といったケースもあります。
こういった際に、必要なのが「明確な根拠に基づいた費用按分」となります。
どうして、この原状回復工事費用の請求になったのかを、借主にきちんと説明できなければこのクレームを処理することはできません。
そのため、退去立会い時に借主負担となる箇所を説明して相互確認を行ったり、原状回復のガイドラインについての知識を持って対応するといったことが必要となります。
貸主・借主双方の費用負担が確定したら、敷金の精算に進みます。
「敷金精算」を行うためには、「預かり金額の合計」「これまでの未収分の合計」「請求項目の合計」をそれぞれ取りまとめておく必要があります。
賃貸借契約締結時に預かり金として「敷金」や「保証金」を貸主(または、不動産管理会社)に預け入れているケースがほとんどかと思います。
他には、解約月に過払いされた賃料の戻し分であったり、借主に返却する項目の金額を集計します。
契約中に家賃や共益費の未納分がある場合や、修理費用など過去に請求しているけれども、未収となっている費用について集計を行います。
家賃の滞納者であれば、一度敷金を返してから、再度請求することは非常に困難な場合があるため、これまでの未収分は漏れなく集計する必要があります。
原状回復工事における借主負担分やルームクリーニング費用・エアコンのクリーニング費用、退去時の鍵交換代など借主に対して請求する金額を集計します。
また、短期解約違約金などが契約によっては設定されている場合もあるため、契約の解約時には契約書の内容を再度確認して、請求すべき項目に不足がないかチェックしましょう。
上記3項目の合計を集計したら、精算金額が確定します。
借主が払うべき費用よりも、預かり金額の方が多い場合は、請求分を敷金から控除して返金します。
逆に、預かり金額よりも、請求金額の方が多い場合は貸主(不動産管理会社)の指定口座へ不足分を支払ってもらうように請求を行います。
その後、敷金の精算が完了したら、契約解約業務・退去精算業務は完了です。
上述の通り、お金に関わる部分でもあるため、トラブルが発生しやすい業務でもあります。不動産のプロとして、業務に関する知識のみならず、原状回復ガイドラインの読み込みなど、幅広い知識と経験が求められます。
ここまで、「契約解約の受付」「退去後の原状回復について」「敷金精算について」の3つのポイントから契約解約業務・退去精算業務を解説していきました。
大家さんの質問サイトや弁護士質問サイトなどでも、解約時のトラブルに関する質問事項は頻繁に出てきているくらい、退去時の敷金精算はトラブルが発生しやすい業務です。
また、自分自身が、契約や原状回復に関する勉強を重ねるとともに、頼りになる原状回復工事業者さんを見つけるのも同じくらい重要です。
困った時に質問をできる業者さんや、不安な時には一緒に立ち会ってもらえるようになど、信頼関係を築いておくことも賃貸管理を円滑に進めていくなかで大切なポイントです。
次回は、「原状回復のガイドラインとクリーニング特約について」について解説していきたいます。
文: Bamboooby株式会社 代表取締役 高田 圭佑
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