家賃を管理するうえで、「誰から」「何円」「何月分を」「いつ」入金があったのかを管理することは非常に大切です。また、滞納督促はできるだけ速やかに対応することが求められるため、効率よく家賃管理表を作成して管理会社内で共有することが重要となってきます。
ここでは、滞納判定のできるエクセルでの家賃管理表の作成方法について解説していきます。
関数も2つしか使わないので、エクセルが苦手な人でも一覧表をかんたんに作ることができます。
「どうやって、毎月の家賃を管理していこう?」
「これから賃貸管理部門を立ち上げる」という方や、「10数戸前後の管理戸数」の場合は、エクセル(Excel)でチャチャッと一覧表を作って家賃管理をすればいいのでは?と考える人も多いと思います。
不動産業界・賃貸管理業界問わず、エクセルのビジネスにおける利用頻度はかなり高く、事務職であればオフィスソフト(ワードやエクセル、パワーポイント)のある程度のスキルを持っていることは必須となりつつあります。(私の母親も50を過ぎた年齢ですが、職場ではエクセルと悪戦苦闘しながら表を作成している。という愚痴を聞かされています。)
また、エクセル自体は関数やマクロ、条件付き書式など非常に豊富な機能を備えており、販売されている家賃管理ソフトと遜色ないものを勉強すれば自作することも可能です。(エクセルがベースとなっている家賃管理ソフトやフリーソフトがネット上でダウンロードできるのも、エクセルの高機能さを表わしていますね。)
シンプルで簡単な機能だけの家賃管理シートから、契約情報や家賃入金情報まで一括して管理できる高機能な賃貸管理エクセルソフトまで、幅広くカバーしていることがエクセルの魅力です。また、自作すれば価格は無料(エクセルのライセンス料金はかかっていますが)であるため、「とりあえず、エクセル!」という形で始められる不動産会社様も多いと思います。
今日は、「エクセル(Excel)で家賃管理表を作成する方法」について、解説していきます。
この解説を見ながら、エクセルシートを作成していけば、簡単な家賃管理表と滞納者の特定までは可能となっています。
ここからは、具体的な家賃管理表の作成方法について解説していきます。家賃管理表の作成手順は以下のとおりです。
まずは、どこに誰が住んでいるのか、家賃はいくらで、請求する金額はいくらなのかという部分をエクセルに入力していきます。この辺りは、それぞれの契約条件を契約書や重要事項説明書を見ながら作成していきます。
まずは、以下の表を見ながら「A〜H」までの対応するセルに項目を入力していきます。
A列:物件名 | 対象のマンションやアパートの物件名を入力。 | B列:部屋番号 | 対象の部屋番号を入力。 |
---|---|---|---|
C列:契約者名 | 入居中の契約者名を入力。 | D列:振込名義 | 家賃入金者の振込名義を入力 ※契約者とは別に父親が入金するなどの場合があるため |
E列:家賃 | 家賃額を入力。 ※日割での請求となる場合は、請求額を入力 |
F列:共益費 | 共益費(管理費)を入力。 ※日割での請求となる場合は、請求額を入力 |
G列:その他費用 | 家賃や共益費以外に請求する費用を入力 | H列:合計請求賃料 | 請求する賃料の合計額を入力 ※SUM関数を使うと便利。(後述) |
I列:入金日 | 実際に家賃入金があった日を入力 | J列:入金額 | 振り込まれた金額を入力 |
K列:滞納判定 | 「合計請求賃料」と「入金額」を比較して、滞納判定を行う。(関数の式は後述) ◯:満額入金 △:一部入金 ×:滞納 ※:過入金 |
※「列」:エクセルの縦の部分。
※「行」:エクセルの横の部分。
契約条件を入力すると、以下のようなエクセルができます。
【SUM関数】
「合計請求賃料」は(家賃+共益費+その他表)で求められます。例えば、101号室の合計請求賃料をエクセルで式を求めるとすると、
H2のセルに「= E2 + F2 + G2」と入力しなければなりません。
今は、3つの足し算なので手入力でも大丈夫!という人もいらっしゃるかとは思いますが、これが、100個の足し算は手入力では式を書くだけで一苦労です。そんなときに利用するのが「SUM関数」です。
これは、足し算の結果を表示したいセルに「=SUM(足し算開始セル:足し算終了セル)」とすれば、範囲内の数字を自動的に全て足し算してくれます。
今回の場合だと、H2のセルに「=SUM(E2:G2)」と入力すれば、E2からG2までの数字を自動的に足し算してくれます。
より詳しく知りたい人は、「Excel SUM」でネット検索してみてください!
次は、記帳した銀行通帳やネットバンキングでの入金明細を確認しながら、家賃入金の消し込み作業を進めていきます。
明細の振込名義と家賃管理表の「振込名義」を照らし合わせて入金した契約者を特定して、エクセルの「I列:入金日」と「J列:入金額」にそれぞれ入力を行っていきます。
ここまで来れば、目視でも家賃の滞納者や一部入金者、過入金者を確認することはできます。しかし、管理戸数が増えてきて100数行を目視で確認するのは、確認漏れや見落としが発生してしまうので、式を組んでエクセルに判定させる方がベターです。
式の内容に移る前に、滞納判定の考え方について説明してきます。
まず、全く入金がなかった人が「滞納」となります。つまり、入金額が空欄の人が「家賃滞納者」、この家賃管理表では「×」と表示されます。
次に、入金があった場合は3つのパターンに分かれます。
1.「入金額」 = 「合計請求額」だった場合、「満額入金:◯」となります。
2.「入金額」 < 「合計請求額」だった場合、「一部入金:△」となります。
3.「入金額」 > 「合計請求額」だった場合、「過入金:※」となります。
上記の内容を踏まえて、判定式について説明していきます。(ここからは「IF関数」の解説になります。)
まずは、入金があったかどうかをエクセルで判定します。
入金があったかどうかを判定するには、「J2」のセルに入力があるかどうか判定します。とすると、「K2」に入るエクセルの式は
=IF(J2 = "","×")・・・①
となります。これで、入金額が未入力の場合は「×」、それ以外は「FALSE」と出る式ができました。
次に行うのが、「入金額」と「合計請求額」の比較して、満額入金されていた場合のエクセルの式についてです。
この場合の条件式を①の式に追加していきます。
=IF(J2 = "","×",IF(J2 = H2,"◯"))・・・②
②の式で、入金額が未入力だったら「×」、入金額と合計請求額が同じだったら「◯」と表示する式ができました。
次は、合計請求賃料の一部入金だった場合の条件式です。
先ほどの②の式に条件式を追加していきます。
=IF(J2 = "","×",IF(J2 = H2,"◯",IF(J2 < H2,"△")))・・・③
③の式で、②に追加して、入金額が請求額に満たない一部入金の場合を「△」と表示する式ができました。
最後に、請求額より入金額の方が多かった場合、過入金のケースの条件式を追加します。
=IF(J2 = "","×",IF(J2 = H2,"◯",IF(J2 < H2,"△",IF(J2 > H2,"※"))))・・・④
これで、入金がない(滞納)場合は「×」、全額入金があった場合は「◯」、一部入金の場合は「△」、過入金だった場合は「※」と表示する式が完成しました。
最終的にK2のセルに入るエクセルの条件式は
=IF(J2 = "","×",IF(J2 = H2,"◯",IF(J2 < H2,"△",IF(J2 > H2,"※"))))
となります。こちらをコピー&ペーストすれば、エクセルの式は動きますのでお試しください。
ここまで作成できれば、各契約者の家賃支払い状況を確認できる家賃管理表は完成です。
それぞれの支払い結果が「◯」「×」「△」「※」で表示されているので、家賃滞納者・一部入金者を特定したい場合はエクセルの「ソート機能」を利用すれば簡単に絞り込むことができます。
これで、「エクセル(Excel)での家賃管理表の作成方法」は終了です。
今回作成したエクセルを月ごとに新しいシートにコピーしていくか、それとも新しいブック(ファイル)を作成していくかについては、賃貸管理会社様やオーナー様の運用に沿って沿って作成していけば大丈夫かと思います。
エクセルは非常に高機能な表計算ソフトなので、今回作成した家賃管理表はエクセルのほんの一部分の機能しか使っていません。
「滞納者の行は色を変えたい」「契約情報は外部シートから情報を取ってきたい」「日割りの請求金額は自動で計算してほしい」「年間の各契約者の家賃支払い履歴表を作成したい」などなど、エクセルにできることはまだまだあります。
世の中には「エクセルマスター」のような、何でもささっとエクセルで表を作成してしまう人もいるくらいなので、業務効率を改善したいと考えている場合は、エクセルの関数やマクロなどを勉強すると良いかもしれません。
最後に、少し宣伝になりますが、上記の滞納判定や入金履歴の一覧表の作成、契約者個別の滞納回数や総滞納金額の算出などは、エクセルを使わなくても、弊社のクラウド型賃貸管理ソフトReDocS(リドックス)で全て対応可能な機能です。
「これから賃貸管理を初めて始める」「本格的なソフトを導入するのは初めて」といったお客様にも「シンプルで使いやすい」などの声を頂いておりますので、「エクセルだと対応しきれなくなってきた」「エクセルがそもそも苦手」という方は、一度、リドックスを試してみてください。
次回は「家賃管理で口座振替を導入するメリット」について解説していきます。
文: Bamboooby株式会社 代表取締役 高田 圭佑
家賃管理をもっと楽に、もっと短時間で終わらせたいという不動産管理会社様からのご要望を受けて、「ネットバンキング連携(ファームバンキング)」の機能を開発しました。目視と手作業で家賃入金の消し込みをされている会社様も多いかと思いますが、この機能を活用すれば、家賃の消し込み作業をほどんど自動化させることができます。
家賃確認にかかる時間を大幅に削減することができるので、より効果的な家賃管理・家賃滞納対策を行うことができるようになります。
エクセルでの管理はそろそろ限界...
そう感じている場合は一度ご相談ください!
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賃貸管理ソフトの導入のメリットは?
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私たちはまだまだ成長途中のシステムです。
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とっつきにくい高機能なシステムではなく、身近でシンプルな不動産管理ソフトでありたいと思っています。
リドックスは「かんたんで、すぐに使えて、便利」なクラウド型の賃貸管理ソフトです。
契約書や家賃管理表などの書類作成はもちろん、賃貸管理業務全体を楽にするのがリドックスの特徴です。
リドックスは多くのお客様に支えられてここまで開発を進めてこれました。
単に賃貸管理ソフトを販売するだけでなく、「最適な体験」をご提供できるようにサービスの向上に努めてまいります。
ソフトに関するご質問や賃貸管理についてのご相談を承っています。 お気軽にサポートチームまでお問い合わせください。 |
ReDocS サポートチーム | TEL:0422-27-1638 MAIL:info@bambooboy.net |
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