3-2 合意更新と法定更新(自動更新)について

賃貸借契約の更新は、貸主と借主の双方が新しい賃貸借契約条件に合意して契約更新を行う「合意更新」と自動的に従前の契約条件と同じ内容で契約更新がされたとされる「法定更新(自動更新)」の2種類があります。ここでは、「合意更新」と「法定更新(自動更新)」の内容についての説明と、更新料の取り扱いについて解説していきます。

契約更新のタイプについて正しく知ろう!

「合意更新」と「法定更新(自動更新)」
大切なポイントしては、「法定更新された場合の賃貸借契約の内容」についてです。
ここでは、合意更新についての解説と、契約書上での法定更新の記載内容について解説していきます。

「合意更新」と「法定更新(自動更新)」とは?

はじめに、合意更新と法定更新についての言葉の定義から見ていきましょう。
まずは、合意更新についてです。

合意更新(ごういこうしん)

借家契約において、当事者の合意によって契約期間を更新することをいう。
借家契約の期間を合意で更新する場合、契約期間の制限はないが、期間を1年未満としたときには期間の定めがないものとみなされることになる。
また、合意更新においては、更新に当たって契約条件等を変更することは原則的に自由であるが、借地借家法の強行規定に反する特約で借家人に不利なものは無効となる。

出展:不動産用語「合意更新」とは

対して、法定更新についてです。
※法定更新と自動更新は厳密には違う内容ですが、ここでは同じ意味合いのものとして扱っていきます。

法定更新(ほうていこうしん)

借家契約において、借地借家法の定めに基づいて自動的に契約期間が更新されることをいう。
借家契約においては、契約当事者が、一定期間前に、契約を更新しない旨または条件を変更しなければ契約更新しない旨の通知をしない場合には、従前の契約と同一の条件で契約を更新したとみなされるが、これが法定更新である。このとき、更新後の契約期間は定めがないものとされる。
法定更新は強行規定であるため、それについて借家人に不利となるような特約を定めても無効となる。

出展:不動産用語「法定更新」とは

上記のように、「合意更新」とは、その言葉の通り貸主と借主双方の合意をもって契約を更新することです。

対して、「法定更新」とは、貸主と借主の契約の更新に関する同意が契約終了までになされなかった場合は、これまでの契約内容と同じ条件(従前の契約と同一の契約条件)で契約を更新することができます。
この法定更新の規定がなかったら、契約終了までに更新交渉が難航して合意に至らなかった場合や更新合意を忘れてしまった場合、借主は住むところがなくなってしまうため、それらの救済措置(消費者保護)の観点から法定更新が規定されています。

合意更新については、双方の合意をもって契約を更新しているため、特段の問題は発生しないと考えられますが、法定更新の場合はイレギュラーが発生しうる可能性があります。そのため、法定更新についてはもう少し詳細を見ていきましょう。

法定更新(自動更新)された場合の契約内容について

では、法定更新された場合についての記述を見ていきます。
ポイントは「従前の契約と同一の条件で契約を更新したとみなされる。」と「このとき、更新後の契約期間は定めがないものとされる。」の2つです。

まず、「従前の契約と同一の条件で契約を更新したとみなされる。」についてです。
これは、法定更新となった場合は、これまでの契約内容と変わりなく同じ内容で契約を更新をしたものとするということです。「同じ条件」というのは、賃料や共益費などはもちろん、解約予告期間や禁止事項などの契約条文についても適用されます。

次のポイントが、「このとき、更新後の契約期間は定めがないものとされる。」についてです。
「期間の定めのない契約」といっても、ピンとこない方も多いかもしれません。以下の図をご覧ください。

法定更新された場合の賃貸借契約について

法定更新によって、期間の定めのない契約となるということは、次回以降に「契約の更新」が発生しなくなります。
さらに、「契約の更新がなくなる」ということは、更新料が請求ができなくなるということです。更新料が取れなくなることは、大家さんにとっても、賃貸管理会社にとっても大きな問題となります。
そのため、法定更新によって、貸主や不動産管理会社がもっとも意識しなければならない点はこの部分でもあります。

最近では、不動産や民法に詳しい人が「更新料を支払わなくても良い方法」として「合意更新に応じず、法定更新を行って、期間の定めのない契約とすることで、その後の更新料は支払わない」という方法をブログなどで紹介されている方もいらっしゃいます。
これは、法定更新がなされた場合についての規定が契約書内に盛り込まれていない場合の隙をついているケースです。

法定更新に関する契約条文例

では、どのような条文を契約書内に盛り込めば良いのでしょうか?
文章案については、以下をご参考にしてください。

【法定更新の際の契約期間に関する記述】
「甲は、乙から契約期間満了のXヶ月前までに、甲に対して本契約の解約について何らの申し出でがない場合には、本契約は賃料等同一条件にて期間満了から2年更新されることとする。以後この例による。」

【法定更新の際の更新料に関する記述】
例1:「本契約が法定更新によって更新された場合であっても2年に1度、更新料支払い義務が生じることとする。」
例2:「更新に関しては、合意更新、法定更新の種類を問わず、乙は甲に対して更新料として新賃料のXヶ月分に相当する額を支払うこととする。」

「更新がなされた場合」や「更新をする場合」など、法定更新された場合の具体的な記述が契約書にない場合は、法定更新時の更新料の請求が棄却される可能性があるため、要注意です。
※具体的な契約書の構成については、弁護士や司法書士の方などどご相談の上、作成されることを推奨します。

まとめ

これまで、「合意更新」と「法定更新(自動更新)」に関する内容について解説していきました。
合意更新においては、双方の合意がなされた上で契約が更新されるためトラブルに発展することは少ないと言えますが、法定更新された場合については更新料の取り扱いなどの面で交渉事項が発生する可能性があります。
そのため、「法定更新がなされる場合とはどのようなケースか」「法定更新の内容」を確実に把握しておく必要があります。
最も起きやすいトラブルとしては、法定更新時の更新料請求についてです。意図的に法定更新に持っていき、更新料の支払いを回避するといったノウハウを伝えているブログなども散見されるため、契約書内の条文で法定更新時の契約の取り扱いについて確実に記載しておくことが管理会社としては求められます。

次回は、「エクセルで契約更新表を作成する方法」について解説していきたいと思っています。

文: Bamboooby株式会社 代表取締役 高田 圭佑

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